NECと老舗パン屋のキムラヤ総本店が、AIを活用して「恋の味」を表現したパンを開発した。この画期的な取り組みでは、恋愛リアリティ番組の会話データや恋愛をテーマにした歌詞から、AIが「初対面」「デート」「嫉妬」「失恋」「両想い」といった恋愛シーンの感情ベクトルを抽出。同時に、約3万5千曲の歌詞データから183種類の食材の感情ベクトルも分析した。AIは、これらの感情ベクトル間の類似性に基づいて食材を推奨し、職人がそれを元にパンを開発。例えば「初対面」のパンは、綿菓子の生地にリンゴのマーブル、ブルークランチのトッピングを使用している。31名の一般参加者による試食評価では、全体的な正答率が43.8%と、ランダムな選択の期待値20%を大きく上回り、AIが導き出した味と人間の感性との間に一定の類似性があることが示された。特に「嫉妬」の味は65.6%という高い正答率を記録し、AIが特定の感情を味で正確に表現できる可能性が示唆された。この研究は、AIと職人の協働による新しい食品開発アプローチの有効性を確認し、消費者が求める新しい味の体験創出に貢献できることを示した。今後は、味だけでなく外観やパッケージデザインなど、より多様な側面でのAI技術の活用が期待される。AIと人間のコラボレーションが、食品業界のイノベーションを加速し、消費者に新たな価値を提供する重要な役割を果たすことが示唆される。ーーー引用元:https://ai-scholar.tech/articles/human-computer-interaction/taste-of-love