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生成AIの進化は留まることを知らず、単に質問に答えたり文章を作成したりするだけでなく、AI自らが目標達成のために自律的に行動する「AIエージェント」の時代が到来しようとしています。この技術は、私たちの働き方やビジネスのあり方を根底から覆すほどの大きな可能性を秘めています。
しかし、AIエージェントの技術を調べていくと、「MCP」や「A2A」といった、聞き慣れない専門用語を目にすることが増えてきました。「それぞれが一体何を指していて、どのような違いがあるのかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、AI開発の第一線で活躍する代表の岡田とエンジニアの秋月が、AIエージェント、MCP(Model-Context-Protocol)、A2A(Agent-to-Agent)という3つの重要キーワードについて、対談形式でその基本から違い、そして未来の展望までをわかりやすく解説します。
この記事を読めば、自律型AIがこれからどのように進化していくのか、その全体像を掴むことができるでしょう。
岡田:早速ですが、最近注目されている「AIエージェント」とは何か、秋月さんの言葉で説明してもらえますか?
秋月:はい。一言で言うなら、「特定の目標を与えられ、それを達成するために自律的に動くAIソフトウェア」だと考えています。従来のAIがユーザーからの指示に対して一回のアクションで応答するのに対し、AIエージェントは目標達成まで何回もアクションを繰り返すことができるのが大きな特徴です。
岡田:まさに「自律性」がキーワードですね。GoogleもAIエージェント、AIアシスタント、ボットの違いを定義していて、AIエージェントが最も自律性が高いと位置づけられています。
秋月:例えばプログラミングで言うと、LLM単体に「このファイルを修正して」と頼むと、そのファイル1つを編集して終わってしまいます。でもAIエージェントは、「ファイル1を編集 → 動くか検証 → ファイル2を編集 → 検証」というように、一連のタスクを自律的に、かつ連続して実行し続けられる。この点が大きな違いです。
岡田:なるほど。さらに、ただ決められた手順をこなすだけでなく、最初に「ログイン機能を作る」という大きな目標を与えられたら、それを達成するためのステップをAI自身が考え、分解し、一つひとつ実行していくイメージですよね。

引用:https://cloud.google.com/discover/what-are-ai-agents?hl=ja
岡田:エージェントが自律的に行動する仕組みとして、「ReAct(リアクト)」というフレームワークが有名ですね。
秋月:はい、論文も出ていましたね。AIエージェントがどういう形式で思考・行動するのが効率的か、という研究の中で生まれたものです。
岡田:ReActは非常にシンプルで、「思考(Thought)→行動(Action)→観察(Observation)」というサイクルを繰り返すことで目標に近づいていきます。まず「何をすべきか」を考え、次に行動を起こし、その結果を観察して、また次の思考につなげる。この繰り返しです。
秋月:まさにそのサイクルが基本ですね。途中で計画を変更したり、実行計画自体を改善したりすることも可能です。
岡田:最初にすべての計画を立てるのではなく、実行結果を都度フィードバックして次のアクションを決めていく。この柔軟性が、複雑なタスクに対応できるAIエージェントの強みと言えそうです。

岡田:AIエージェントが自律的に動くためには、Web検索をしたり、外部のサービスと連携したりと、様々な「道具」を使いこなす必要があります。その連携を可能にするのが「MCP(Model-Context-Protocol)」というわけですね。
秋月:はい。ただし、MCPは単に外部APIを呼び出すのとは少し仕組みが異なります。よくあるREST APIのように特定のURLにアクセスして一回きりの情報を得るのではなく、双方向のストリーミング通信路を確立し、その上で「JSON-RPC 2.0」という形式でメッセージを継続的にやり取りする、というのがMCPの基本的な約束事(プロトコル)です。
岡田:なるほど、常に接続した状態で対話的にやり取りするイメージですね。以前、「AI界のUSB-Cポート」という比喩を見かけましたが、どんな相手とも共通の規格で接続できるという点では、今も有効な考え方と言えそうですね。
秋月:その例えは分かりやすいです。MCPという共通規格があるおかげで、AIエージェントは様々な外部機能と統一された方法で対話できるようになります。

岡田:MCPというと「ツール連携」のイメージが強いですが、扱えるのはツールだけではないんですよね?
秋月:その通りです。そこがMCPの非常に強力な点で、主に3種類の要素(プリミティブ)を扱います。
Tools(ツール): Slackへの投稿やカレンダーへの登録など、外部サービスを操作するための機能。
Resources(リソース): ファイルの中身、データベースの検索結果、APIの応答など、AIが読み取って利用するためのデータ。
Prompts(プロンプト): 「以下の文章を要約してください」のような、再利用可能な定型プロンプトのテンプレート。
つまり、MCPは「外部ツールを使う」だけでなく、「外部データを読み込む」「定型プロンプトを共有・再利用する」という幅広い用途を一つのプロトコルで実現します。
岡田:ツールだけでなく、データやプロンプトのテンプレートまで扱えるのは便利ですね。でも一方で、AIが勝手にツールをどんどん実行してしまうと、少し怖い気もしますが…。
秋月:そこが非常に重要なポイントです。MCPの仕様では、AIが勝手に判断して行動することを防ぐため、ツールを実行する前に必ず人間のユーザーがその内容を確認し、許可するフローを挟むこと(Human-in-the-loop)が必須とされています。AIが生成した実行計画が暴走しないよう、アプリケーション側で「この操作を実行しますか?」といった確認ダイアログを必ず表示する必要があるんです。
岡田:なるほど、完全自動ではなく、あくまで人間の承認が前提なのですね。安心しました。では、例えばAIエージェントが「Slackにメッセージを投稿したい」と思った時、具体的にはどういう流れになるんでしょうか?
秋月:まず、Slack連携用のMCPサーバーに接続します。
そして接続後、AIエージェントはMCPサーバーに「どんなツールが使えますか? (tools/list)」と問い合わせます。
するとサーバーは、「チャンネルにメッセージを投稿する」といったツールのリストと、それに必要なパラメータ(チャンネルID、本文など)の情報をJSON形式で返します。
AIはユーザーの指示とその情報を元に操作内容を組み立て、最終的にユーザーがその内容を見て「OK」と承認したら、初めてSlackへの投稿が実行される、という流れになります。
もっと知りたい方向け:https://modelcontextprotocol.io/introduction
岡田:次に、エージェント同士の連携を実現する「A2A(Agent-to-Agent)」ですが、こちらはまだ発展途上の技術だと聞いています。
秋月:はい、その通りです。2025年6月現在、A2Aはまだドラフト仕様(v0.2系)の段階にあり、今後も仕様が変更される可能性がある点には注意が必要です。その上で説明すると、A2Aは、異なるAIエージェント同士が協調して、より複雑なタスクを遂行するための通信プロトコルです。
岡田:エージェント同士が会話するための「共通言語」のようなものでしょうか。具体的には、どのような仕組みで連携するのですか?
秋月:技術的には、HTTP上でJSON-RPC 2.0という形式で通信し、例えば時間のかかる処理の進捗状況はServer-Sent Events(SSE)という技術でリアルタイムにストリーム配信されます。これにより、クライアント側はタスクの進捗を常に把握できます。
また、A2Aではやり取りする情報の型が明確に定義されています。例えば、仕事の依頼は「Task」オブジェクト、その結果として生まれる納品物や中間生成物は「Artifact」オブジェクトとして扱われます。
岡田:用語が統一されているから、異なる開発者が作ったエージェントでもスムーズに連携できるわけですね。ここでも、やはり人間のチェックは入るのでしょうか?
秋月:もちろんです。MCPと同様、A2AでもHuman-in-the-Loopが強く推奨されています。特に、他のエージェントに重要なTaskを依頼する際には、その内容や実行に必要な権限をユーザーが事前に確認・承認するフローを設けるのが、安全なシステムを構築する上での標準的な考え方です。

https://a2aprotocol.ai/docs/guide/ai-protocols-analysis-report-a2a-mcp-and-acp
岡田:MCPとA2Aの違いを改めて整理すると、どうなりますか?
秋月:MCPがAIエージェントという「個」の能力を拡張するために、外部からコンテキスト(ツール、データ、プロンプト)を注入するプロトコルであるのに対し、A2AはAIエージェントという「個」と「個」を繋ぎ、協調させるための対話プロトコルです。
岡田:なるほど。例えば「ソフトウェアエンジニアの採用」という大きな目標があれば、親エージェントが「候補者リストを作成せよ」というタスクを探索専門の子エージェントに発行し、子エージェントは成果物として候補者リストを返す、といった連携がA2Aによって可能になるわけですね。
秋月:はい。そうした複数のエージェントが連携するプロセス全体において、各ステップで人間の承認を挟みながら、安全かつ確実にタスクを進めていく。それがA2Aが目指す協調型AIの世界です。

https://developers.googleblog.com/ja/a2a-a-new-era-of-agent-interoperability/
今回の対談で解説した3つのキーワードの関係性を、改めて整理してみましょう。
用語 | 一言でいうと | 役割と特徴 |
AIエージェント | 自律的に動く実行者 | 目標達成のために、自ら思考し、計画を立て、行動を繰り返すAI。 |
MCP | コンテキスト注入プロトコル | AIにコンテキスト(ツール、データ、プロンプト)を注入し、能力を拡張する。 |
A2A | 協調のための対話プロトコル | エージェント同士がタスクや中間成果物をやり取りして協働する。 |
簡単に言うと、AIエージェントという「実行者」が、MCPを通じて能力を拡張し、A2Aというルールに則って他のエージェントと協力する。そして、そのすべての重要なプロセスには人間の承認が介在します。
これらの技術が成熟し、組み合わさることで、AIは単一のタスクをこなすアシスタントから、複雑なプロジェクト全体を安全に管理・遂行できる真のパートナーへと進化していくでしょう。私たちの想像を超えるレベルでの業務自動化が、すぐそこまで来ています。
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A1: はい、一部の領域ではすでに実用化が始まっています。例えば、顧客からの問い合わせに自動で回答し、必要に応じて社内システムを操作して問題を解決するカスタマーサポートエージェントや、ソフトウェア開発のコーディングを補助・自動化する開発エージェントなどが登場しています。ただし、あらゆる業務を完全に自律化できる段階には至っておらず、現時点では特定の定型業務や明確なゴールが設定されたタスクでの活用が中心です。
A2: RPAは、主にPC画面上の操作を記録・再生することで、あらかじめ決められた手順の定型業務を自動化する技術です。一方、AIエージェントは、LLM(大規模言語モデル)による推論能力を持ち、決められた手順だけでなく、予期せぬ状況にもある程度対応しながら、目標達成のために自ら次の行動を判断できる点が大きな違いです。RPAが「指示書通りに動くロボット」なら、AIエージェントは「目的を理解して自分で考えて動くアシスタント」と言えるでしょう。
A3: これらの技術はまだ発展途上であり、日本語の情報は限られています。最も正確な情報を得るには、コンセプトを提唱している企業やコミュニティの公式ドキュメントやGitHubリポジトリを参照するのがおすすめです。
https://modelcontextprotocol.io/introduction
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