企業がChatGPTを導入する際の費用は、なかなか見積もりづらいものです。とはいえ、無料枠や月額料金、APIの利用料金など、様々な要素が絡んでくるため、事前に詳細な試算をしておくことは不可欠でしょう。しかし、単に費用面だけを気にしていては、本来のChatGPTの活用方法を見失ってしまう可能性もあります。そこで今回は、ChatGPTの導入費用の目安や計算方法、さらには運用コストまで詳しく解説します。ChatGPTの機能を最大限に活かし、自社の業務に最適な形で導入することが肝心です。ChatGPTを活用して業務効率化を図りたいと考えた際には、お気軽にお問い合わせください。ChatGPTの導入費用の目安ChatGPTを導入する際の費用は、利用形態によって大きく異なります。通常、ChatGPTをそのまま利用する場合は、月額料金を支払うだけで済みます。一方、APIを使ってオリジナルのAIツールを開発する場合は、1,000万円前後の予算が必要になるでしょう。AIツールの開発には、高度な技術力とノウハウが求められます。ChatGPTのAPIを活用して、自社のニーズに合ったAIツールを作り上げるには、専門的な知識を持ったエンジニアや開発チームが不可欠です。また、開発には一定の期間が必要であり、その間の人件費やインフラ費用も考慮しなければなりません。したがって、ChatGPTをそのまま利用するのか、APIを使ってオリジナルのAIツールを開発するのかは、自社の目的や予算に応じて慎重に判断する必要があります。コストを抑えたい場合は、まずはChatGPTの月額プランを利用してみるのが賢明でしょう。一方、自社の業務に特化したAIツールを求める場合は、しっかりと予算を確保した上で、開発に着手することが肝要です。登録後3か月の期限付きで5ドルの無料枠があるChatGPTを利用するには、OpenAIのアカウント登録が必要です。登録時にクレジットカード情報の提供が求められますが、無料枠内の利用に限り、料金は一切発生しません。この無料枠は、登録後3か月間有効で、約5ドル分のクレジットが付与されます。実際に使ってみることで、自社での活用イメージを膨らませることができるでしょう。ChatGPTの月額料金一覧ChatGPTには、以下のような月額料金プランが用意されています。プラン名月額料金利用可能機能メッセージ限度Free (無料)$0GPT-3.5、限定的なGPT-4oアクセス、基本的なデータ分析、ファイルアップロード、画像生成(DALL・E)制限ありPlus (プラス)$20GPT-4、GPT-4oアクセス、データ分析、ファイルアップロード、画像生成、WebブラウズGPT-4oで5倍増加Team (チーム)年間契約で1ユーザーあたり$25 / 月額契約で$30プラスプランの全機能に加え、メッセージ上限増、管理コンソールプラスより高上限Enterprise (エンタープライズ)お問い合わせチームプランの全機能に加え、無制限の高速アクセス、拡張されたコンテキストウィンドウ無制限無料プランでは、基本的な機能を利用できますが、メッセージ数に制限があります。より高度な機能を使いたい場合は、有料プランへの移行が必要です。特に、GPT-4を利用したい場合は、Plusプラン以上への加入が不可欠です。なお、企業での本格的な活用を考えている場合は、TeamプランやEnterpriseプランが選択肢の1つです。このプランでは、管理コンソールによるユーザー管理や、高速アクセス、拡張されたコンテキストウィンドウ(入出力の文字数上限)など、ビジネス利用に適した機能が提供されます。ChatGPTのAPIの料金一覧ChatGPTのAPIを利用する場合、以下のような料金体系になっています。モデルInput コストOutput コスト対応モデルGPT-4o$5.00 / 1Mトークン$15.00 / 1MトークンテキストGPT-3.5 Turbo$0.50 / 1Mトークン$1.50 / 1MトークンテキストGPT-3.5 Turbo Instruct$1.50 / 1Mトークン$2.00 / 1Mトークンテキストtext-embedding-3-small$0.02 / 1Mトークン-テキスト埋め込みtext-embedding-3-large$0.13 / 1Mトークン-テキスト埋め込みada v2$0.10 / 1Mトークン-テキスト埋め込みdavinci-002$6.00 / 1Mトークン$12.00 / 1Mトークンファインチューニングbabbage-002$0.40 / 1Mトークン$1.60 / 1MトークンファインチューニングDALL·E 3 Standard 1024×1024-$0.040 / 画像画像DALL·E 3 Standard 1024×1792-$0.080 / 画像画像DALL·E 3 HD 1024×1024-$0.080 / 画像画像DALL·E 3 HD 1024×1792-$0.120 / 画像画像Whisper-$0.006 / 分音声TTS-$15.00 / 1M文字音声TTS HD-$30.00 / 1M文字音声APIを利用する場合は、この料金体系を理解した上で、機能と予算のバランスを考える必要があります。利用量が多くなれば、コストも増大するため、適切な利用計画を立てることが肝要です。なお、有料アカウントを取得した後は、「Billing settings」から利用料金の確認が可能です。定期的に利用状況をチェックし、コストの最適化に努めましょう。API料金計算の例:生成AIにおける制作費用の内訳生成AIを活用したサービスを提供する際、APIの利用料金は重要な検討事項です。ここでは、ChatGPTを例に、月間の問い合わせ件数とトークン数に基づいた料金計算の具体例を見ていきましょう。項目数値入力トークン数6,000トークン出力トークン数9,000トークン月当たりの合計トークン消費15,000トークン入力トークン費用$0.003 (約0.48円)出力トークン費用$0.0045 (約0.72円)合計費用$0.0075/月 (約1.2円)毎日30件、入力トークン数が200、出力トークン数が300である問い合わせにChatGPTで対応した場合、月間の入力トークンは6,000トークン、出力トークンは9,000トークンとなり、合計で15,000トークンが消費されます。OpenAIのAPI(GPT-3.5 Turbo)では、約1,000文字(1kトークン)の入力が$0.50(1ドル160円の場合、80円)と設定されています。この単価に基づいて計算すると、入力トークン費用は$0.003、出力トークン費用は$0.0045となり、月間の合計費用は$0.0075(約1.2円)です。この例から分かるように、生成AIを活用する際は、想定される問い合わせ件数とトークン数を見積もり、APIの料金体系を踏まえてコストを試算することが肝要です。利用規模によっては、無視できない費用になる可能性があるため、事前の検討が欠かせません。モデルごとにかかる料金の比較生成AIを導入する際、利用するモデルによってもコストが大きく異なります。以下は、ChatGPTの各モデルについて、先ほどと同じ条件(毎日30件、総トークン15,000)で月間コストを試算した結果です。以下は各モデルにおける入力コスト、出力コスト、および合計コストの詳細です。モデルInput コストOutput コスト合計コストGPT-4$0.03$0.045$0.075GPT-3.5 Turbo$0.003$0.0045$0.0075GPT-3.5 Turbo Instruct$0.009$0.0135$0.02251ドルが160円の場合には、以下のコストがかかります。モデルInput コスト (円)Output コスト (円)合計コスト (円)GPT-4¥4.8¥7.2¥12GPT-3.5 Turbo¥0.48¥0.72¥1.2GPT-3.5 Turbo Instruct¥1.44¥2.16¥3.6ただし、このコストは利用規模によって変動するため、一概にどのモデルが最適とは言えません。精度が悪いからと何度も出力するほど、従量課金で費用がかかりますし、入出力が大規模になるほどコストも高くなるためです。また、APIの料金体系、および最新モデルは将来的に変更される可能性もあることから、定期的に最新情報をチェックし、必要に応じて利用プランを見直すことも忘れてはいけません。貴社の状況に合わせて最適なモデルを選び、AIの力を最大限に活用していきましょう。導入に際して不明な点やお悩みがある場合は、ぜひNOVEL株式会社のAIコンサルティングサービスをご利用ください。豊富な知見とノウハウを活かし、貴社に最適なAI活用をご提案いたします。ChatGPTの導入方法通常、企業がChatGPTを導入する場合、アカウントを用意して利用する方法が一般的です。1名の利用では1つだけあれば十分ですが、2名以上であればTeamプランに加入します。また、オリジナルのAIツールを用意したい場合には、OpenAIが提供するAPIを活用します。APIを使用することで、自社のサービスやアプリにChatGPTの機能を組み込むことが可能です。APIの利用には料金が発生しますが、その分、自由度の高いカスタマイズができるのがメリットです。なお、ChatGPTを本格的に導入する場合は、有料プランの選択はどうしても不可欠です。コストを抑えたい場合は、Azure OpenAI Serviceの利用も検討できるでしょう。詳しくは、下記ページもご覧ください。関連記事:ChatGPTの導入方法と事例9選|費用目安や危険性も解説ChatGPTの導入費用と一緒に知っておくべきポイントChatGPTを活用したサービスを開発するときにAPIを使う場合、ティアと呼ばれる利用限度額の調整期間に注意が必要です。以下の表は、OpenAIが提供するAPIのティアごとの資格要件と利用限度額を示しています。ティア資格要件利用限度額Free許可された地域のユーザーであること月$100Tier 1$5の支払いが完了していること月$100Tier 2$50の支払いと最初の支払いから7日以上が経過していること月$500Tier 3$100の支払いと上記同様に支払いから7日以上が経過していること月$1,000Tier 4$250の支払いと上記同様に支払いから14日以上が経過していること月$5,000Tier 5$1,000の支払いと上記同様に支払いから30日以上が経過していること月$50,000ティアごとに利用限度額が設定されているため、APIを利用する際は、1か月が経過するまで上限以上の利用はできないでしょう。以下は、実際に最大まで利用できる状態の例です。また、個別の条件を設定することで、一定の使用量に達した際にアラートを発信したり、APIの利用を一時的に停止したりすることも可能です。これにより、予期せぬ高額な請求を防ぐことができます。トークン数の計算は覚えておくChatGPTを利用する際のトークンは、入力されたテキストを分割した単位であり、1トークンが必ずしも1単語に対応するわけではありません。実際には、1トークンは日本語だと約1.1〜1.2単語に相当します。トークン数を正確に把握するには、OpenAIが提供するツールやPythonライブラリを活用するのが効果的です。例えば、tiktokenというPythonライブラリを使用すると、入力テキストのトークン数を簡単に計算できます。なお、GPT-4oでは、従来のモデルと比較して、テキストがより効率的に圧縮されるため、トークン数の問題を解決しやすくなっています。ChatGPT導入費用には運用コストも加味するChatGPTを導入する際、APIの利用料金だけでなく、運用に関わる様々なコストを考慮する必要があります。以下は、ChatGPT導入に伴う運用コストの具体例です。サーバーのホスティング費用データストレージ費用GPUの利用料金API呼び出し料金カスタマイズ費用トレーニングデータの準備費用システムメンテナンス費用セキュリティ対策費用バックアップと障害復旧費用ユーザーサポート費用ライセンス料金パフォーマンス最適化費用アップグレードとバージョンアップの費用技術者の人件費この運用コストは、ChatGPTを継続的に利用していく上で欠かせない投資です。また、OpenAIが提供するサービスや、導入支援サービスを展開する企業のサービス内容は常に変化しているため、定期的な見直しが必要不可欠です。ChatGPTの導入費用に悩んだらコンサルへ相談ChatGPTの導入を検討する際、コスト削減を最優先に考えてしまうのは自然な流れです。しかし、初期段階で費用を抑えすぎると、かえって導入に時間がかかったり、運用がスムーズにいかなかったりと、結果的にコストがかさむこともあります。たとえ自社でChatGPTの導入費用の概算が計算できたとしても、無駄を省くには一定のノウハウや知見が必要不可欠です。ChatGPTを活用するには、自社の事業目的とのマッチングを見極め、適切なプランやAPIを選択し、データ入力や学習モデルの調整など、様々な要素を考慮しなければなりません。こうした複雑な導入プロセスは、経験豊富なAIコンサルタントに相談し、プロの視点で、貴社に最適なChatGPTの利用方法を見つけるほうが圧倒的に早いです。生成AIは、OpenAIのChatGPTに限らず、Microsoft AzureのGPT-4やAnthropicのClaudeなど、様々なサービスが登場しています。貴社の業務内容や目的に合わせて、最適なAIを選定することが重要ですが、そのためにも知識と経験が必要です。もしChatGPTの導入費用に悩んでいるなら、ぜひ弊社NOVEL株式会社のAIコンサルティングサービスをご利用ください。貴社の状況をヒアリングし、最適なChatGPT活用プランをご提案します。初心者向け:ChatGPT導入費用に関するFAQ最後に、ChatGPT導入費用に関する質問へ回答します。ChatGPTの料金支払い方法は何が選べる?ChatGPTは企業導入と個人利用とでどのような違いがある?ChatGPTのAPIは料金プランごとにトークン数の上限設定が異なる?ChatGPTの料金支払い方法は何が選べる?ChatGPTの料金支払いには、利便性の高い各種クレジットカードに加えて、ApplePayやGooglePayといったモバイル決済サービスも選択可能です。この多様な支払い方法により、ユーザーは自分に最適な手段でスムーズにChatGPTを利用開始できます。ChatGPTは企業導入と個人利用とでどのような違いがある?ChatGPTの利用形態は、大きくわけて企業導入と個人利用の2つに分類できます。企業導入の場合、ChatGPTチームによるサポートを受けられる「Enterprise」プランなど、ビジネス向けの料金体系が用意されています。一方、個人利用では、一般ユーザー向けの料金プランが良いでしょう。詳しくは、下記ページもご覧ください。関連記事:ChatGPTを企業利用する際の料金は?EnterpriseとAPIで費用対効果を比較ChatGPTのAPIは料金プランごとにトークン数の上限設定が異なる?ChatGPTのAPIを利用する際、料金プランによってトークン数の上限設定に違いがあります。モデルコンテキストウィンドウgpt-4o128,000 トークンgpt-4o-2024-05-13128,000 トークンgpt-4-turbo128,000 トークンgpt-4-turbo-2024-04-09128,000 トークンgpt-4-turbo-preview128,000 トークンgpt-4-0125-preview128,000 トークンgpt-4-1106-preview128,000 トークンgpt-48,192 トークンgpt-4-06138,192 トークンgpt-4-03148,192 トークンgpt-3.5-turbo-012516,385 トークンgpt-3.5-turbo16,385 トークンgpt-3.5-turbo-110616,385 トークンgpt-3.5-turbo-instruct4,096 トークントークン数の上限が大きいということは、より複雑なタスクや、より深い文脈理解を必要とする応用が可能になることを意味します。例えば、長文の要約や、複数の情報源からの知識統合、創造的なライティングなどは、トークン数の上限が大きいほど、より精度の高い結果が期待できます。まとめChatGPTの導入費用は、利用形態や規模によって大きく異なります。無料枠や月額プランを活用すれば、比較的低コストで基本的な機能を体験できますが、本格的な業務での活用には、APIの利用が不可欠です。APIの料金は、利用するモデルやトークン数によって変動するため、自社のニーズに合わせた適切な利用計画が重要となります。また、自社に最適なサービスを選択し、無駄なコストを削減しつつ、最大限の効果を引き出すには、経験豊富なAIコンサルタントの支援が欠かせません。NOVEL株式会社のAIコンサルティングサービスでは、貴社の状況をヒアリングし、最適なChatGPT活用プランをご提案します。ChatGPTの導入を検討されている皆様は、ぜひお気軽にご相談ください。