DifyカスタマーサポートBot作り方を徹底解説!|2025年最新版
最終更新日:
2025.10.14

監修者情報

岡田 徹
NOVEL株式会社 代表取締役
大阪大学在学中よりエンジニアとして活動し、複数のプロダクト立ち上げを経験。
2019年2月にNOVEL株式会社を設立。
2022年より生成AI領域に特化し、
AIライティングSaaS『SAKUBUN』(累計70万回利用・2万アカウント)を企画・開発。大手メディアや人材企業・出版企業への導入実績を持つ。
現在は中堅企業向けAIコンサルティングに注力し、製造業・小売業・金融機関など業種を問わず、生成AIの導入から定着までを一気通貫で支援している。
著書: 『2冊目に学ぶ ChatGPTプロンプト攻略術』(C&R研究所、2024年)
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現代のビジネスにおいて、顧客満足度は成功の鍵を握ります。しかし、「24時間365日対応したいが人手が足りない」「問い合わせが集中して対応が追いつかない」といった課題は、多くの企業にとって深刻な悩みです。この課題を解決する切り札として、AIチャットボットが注目されていますが、「開発には専門知識が必要」「高額なコストがかかる」といったイメージから、導入をためらうケースも少なくありません。
しかし、AI開発の常識は変わりつつあります。本記事でご紹介する「Dify」のようなノーコード/ローコードプラットフォームの登場により、プログラミングの専門知識がない担当者でも、驚くほど高機能なAIアプリケーションを構築できるようになりました。
この記事では、生成AIのエキスパートである弊社の代表・岡田とエンジニア・秋月の対談形式で、Difyを使って実践的なカスタマーサポートBotを構築する具体的な手順を、初心者にも分かりやすく完全解説します。単なる問い合わせ応答に留まらない、ユーザーの意図を汲み取り、複数の質問にも対応できる高度なBotの作り方を学び、自社の業務効率化と顧客体験向上の第一歩を踏み出しましょう。
岡田:最近、クライアントからAIチャットボットに関する相談を受けることが増えました。特に多いのが、「シナリオベースのチャットボットを導入したけれど、決まった質問にしか答えられず、結局有人対応になってしまう」という悩みです。
秋月:よく聞く話ですね。従来のチャットボットは、事前に設定されたルールやキーワードに基づいて応答するものが主流でした。そのため、少しでも想定外の質問が来ると「分かりません」と返してしまうことが多かったんです。
岡田:その通りです。しかし、DifyのようなLLM(大規模言語モデル)を活用したプラットフォームを使えば、その問題点を克服できます。Difyの強みは、単なる一問一答ではなく、文脈を理解し、人間のように柔軟な対話が可能なAIを、まるでフローチャートを組むような直感的な操作で開発できる点にあります。

秋月:Difyは、AIへの指示(プロンプト)やデータの流れを「ノード」というブロックを繋ぎ合わせて構築(オーケストレーション)していきます。これにより、非エンジニアでも複雑なロジックを組むことが可能です。
岡田:ええ。例えば、ユーザーからの問い合わせを内容に応じて分類し、それぞれに適したナレッジ(知識ベース)を参照させて回答を生成する、といった一連の流れを自動化できます。これが、本記事のテーマである高機能なカスタマーサポートBotの根幹となる部分です。
岡田:では、実際にDifyを使って、複数の質問に対応でき、かつ不適切な質問はフィルタリングできる、実践的なカスタマーサポートBotの作り方を解説していきましょう。今回は、弊社のサービスに関する問い合わせを想定したBotを例にします。
岡田:まず、Botの全体的な処理の流れを設計します。今回は以下のような流れを想定します。
開始: ユーザーからのチャット入力を受け取る。
質問分類: 入力された内容が「挨拶」「料金に関する質問」「不適切な質問」など、どのカテゴリに属するかを分類する。
内容抽出: 分類された質問から、具体的な質問項目を抜き出す。(例:「料金プランと導入事例について教えて」→「料金プラン」「導入事例」の2項目を抽出)
反復処理: 抽出された複数の質問項目を、1つずつ処理するループを作る。
知識参照: 各質問項目に関連する社内ドキュメント(知識ベース)を検索する。
回答生成: 検索した情報を基に、LLMが最終的な回答を作成する。
終了: 生成された回答をユーザーに提示する。
秋月:なるほど。ただ質問に答えるだけでなく、最初にユーザーの意図を正確に把握し、それに合わせて処理を分岐させていくのがポイントですね。特に、悪意のある質問やサービスに関係ない質問を最初に弾く「質問分類器」は、公開するBotには必須の機能と言えそうです。

岡田:それでは、Difyのワークフロー画面で構築していきます。まず、ワークフローの起点となる「開始」ノードがあります。ユーザーからのチャット入力は、すべてこのノードに入ってきます。
秋月:sys_queryという変数に、ユーザーの入力が格納されるんですよね。
岡田:その通りです。次に、このsys_queryを「質問分類器」ノードに繋ぎます。このノードでは、ユーザーの質問がどのような種類のものかをAIに判断させます。
岡田:例えば、以下のようにクラス(分類先)を設定します。
class_1(挨拶): こんにちは、ありがとう、などの単純な挨拶。
class_2(質問): サービス内容、料金、機能などに関する具体的な質問。
class_3(不適切・無関係な質問): プロンプトインジェクションの試みや、サービスとは無関係な雑談。
秋月:ここで不適切な質問(class_3)と判断された場合、あらかじめ用意しておいた定型文(「申し訳ありませんが、その質問にはお答えできません」など)を返して処理を終了させる、といった分岐も作れますね。
岡田:まさにその通りです。この最初のフィルタリングが、Botの安定性と安全性を保つ上で非常に重要になります。

岡田:次に、class_2(質問)と分類された入力に対して、具体的な質問内容を抽出します。ここでは「LLM」ノードを使い、AIに「入力された文章から、質問の要点をJSON形式で抜き出してください」といった指示(プロンプト)を与えます。
秋月:昔はLLMが出力したJSON文字列を、さらに別の「JSONに変換」ノードで整形する必要がありましたが、今のDifyなら「構造化出力(Structured Output)」機能を使えば、もっと簡単に、かつ確実にJSON形式でデータを取り出せますね。
岡田:良い補足です。技術は日々進化していますね。この構造化出力を使うことで、例えば「SAKUBUNの料金について知りたい。あとAI導入支援の実績も教えて。」という入力から、以下のようなデータを取り出すことができます。
JSON
{
"items": [
"SAKUBUNの料金",
"AI導入支援の実績"
]
}
このステップで、非構造的な文章を、後続の処理で扱いやすい構造化データに変換することが、自動化の鍵となります。

岡田:先ほど抽出したitemsには、複数の質問項目が入っている可能性があります。これらを一つずつ処理するために、「イテレーション」ノードを使います。このノードは、配列(リスト)の中の要素を一つずつ取り出して、後続の処理を繰り返してくれる便利な機能です。
秋月:プログラミングで言うところのforループ(繰り返し処理)ですね。これを使えば、ユーザーが一度にいくつ質問してきても、漏れなく対応できるわけですね。
岡田:その通り。そしてイテレーションの中で、取り出した各質問項目(「SAKUBUNの料金」「AI導入支援の実績」など)に応じて、参照させる「知識ベース」を切り替えます。例えば、「料金」というキーワードが含まれていれば「料金プラン一覧.pdf」を、「実績」なら「導入事例集.docx」をAIに読み込ませる、といった具合です。

岡田:最後に、もう一度「LLM」ノードを設置します。このノードには、入力として「イテレーションで取り出した質問項目」と「参照させた知識ベースの情報」の2つを与えます。そして、「これらの情報を基に、丁寧な日本語で回答を生成してください」と指示します。
秋月:なるほど。質問ごとに関連性の高い情報だけをAIに与えることで、より精度の高い、的を射た回答が生成できるわけですね。
岡田:ええ。この「質問の意図を理解し、関連情報だけをピンポイントで参照して回答を生成する」仕組み(RAG: Retrieval-Augmented Generation)こそが、Difyで高機能なBotを作る上での核心です。こうして生成された回答は、最終的に「終了」ノードに渡され、ユーザーのチャット画面に表示されます。

岡田:いかがでしたでしょうか。今回はDifyを使って、ユーザーの複雑な意図を汲み取り、複数の質問にも的確に答えられるカスタマーサポートBotの構築方法を解説しました。
秋月:ポイントをまとめると、以下のようになりますね。
ステップ | ノード | 目的 |
|---|---|---|
分類 | 質問分類器 | ユーザーの意図を把握し、不適切な入力を弾く |
抽出 | LLM(構造化出力) | 自然文から処理しやすいデータ(JSON)を抜き出す |
反復 | イテレーション | 複数の質問に漏れなく対応する |
回答 | 知識ベース + LLM | 関連情報のみを参照し、高精度な回答を生成する(RAG) |
岡田:ありがとうございます。このように、Difyのようなプラットフォームを活用すれば、従来は専門のエンジニアチームが時間をかけて開発していたような高度なAIシステムを、驚くほど迅速かつ低コストで実現できます。これは、単なる業務効率化に留まりません。24時間365日、顧客一人ひとりの疑問に寄り添う質の高いサポートを提供することは、顧客満足度を飛躍的に向上させ、結果として企業の競争力を高めることに繋がります。
本記事が、皆様の会社でAI活用の可能性を広げる一助となれば幸いです。
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A1. 基本的な操作にプログラミング知識は必須ではありません。本記事で紹介したようなノードを繋ぎ合わせる直感的な操作で、多くの機能を実装できます。ただし、Pythonコードを直接記述できるノードもあり、プログラミング知識があれば、より複雑でカスタマイズ性の高いワークフローを構築することも可能です。
A2. Difyは、PDF、Word、Excel、CSV、Textファイルなど、様々な形式のドキュメントを知識ベースとして直接アップロードできます。また、NotionやWebサイトのコンテンツを同期して、最新の情報を自動で知識ベースに反映させることも可能です。
A3. Difyには、クラウド版とセルフホスト版があります。クラウド版には無料プランも用意されており、一定の制限内で機能を試すことができます。より多くの機能や大規模な運用が必要な場合は、有料のビジネスプランやエンタープライズプランが提供されています。料金の詳細は公式サイトをご確認ください。
Dify: 直感的なインターフェースでAIアプリケーションを構築・運用できるオープンソースのLLMOpsプラットフォーム。ワークフローのオーケストレーション、プロンプトエンジニアリング、知識ベース管理などの機能を統合的に提供する。
プロンプトインジェクション: AIチャットボットに対し、開発者が意図しない不正な指示(プロンプト)を入力することで、機密情報を漏洩させたり、不適切な発言をさせたりするサイバー攻撃の一種。
JSON: テキストベースのデータ交換フォーマット。"キー": "値" の形式でデータを記述するため、人間にも機械にも読みやすい特長がある。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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