TOP

>

AI活用事例

>

金融機関のAI-OCR リアルな導入効果と活用のコツ

AI活用事例

金融機関のAI-OCR リアルな導入効果と活用のコツ

最終更新日:

2025.7.25

この記事に関連するお役立ち資料

AIを活用した業務自動化 事例BOOK

無料ダウンロード

金融機関における事務処理は、依然として多くの紙文書を扱う必要があり、業務効率化の妨げとなっています。近年、OCR(光学文字認識)技術の進化、特にAIを搭載したOCRの登場により、手入力による非効率な作業からの脱却が期待されています。

本記事では、金融業界におけるAI OCR導入の事例を詳しく紹介します。具体的な導入効果や、導入時に考慮すべき課題、そして最新の技術動向について解説することで、金融機関のデジタルトランスフォーメーションを支援し、より効率的な業務体制の構築に貢献できれば幸いです。

金融業界におけるAI-OCRとは?定義と基本

AI-OCRは、AI(人工知能)をOCR(光学文字認識)技術に搭載したものです。従来型OCRでは読み取りが難しかった手書き文字や非定型帳票を高精度で文字認識できます。

金融機関では、申込書や本人確認書類など多種多様な書類を扱います。AI-OCRはこれらの書類から必要な情報を自動でデータ化し、基幹システムなどへ連携することが可能です。

また、AI-OCRの導入により、手作業によるデータ入力や照合にかかる時間とコストを削減できます。業務効率化と人的資源の有効活用に貢献するでしょう。

金融業界におけるAI-OCR導入の課題と期待

金融機関では大量の紙文書を扱う業務が多く、その処理コストが大きな負担です。また、手作業でのデータ入力はミスが発生しやすく、手戻りによる時間やコストの浪費も課題となっています。

さらに、金融業界はコンプライアンス要件が厳格なため、正確に情報を管理しなければなりません。

AI-OCRはRPAとの連携により、データ入力から処理まで一連の業務を自動化できます。従業員はより高度な業務に集中できるため、生産性向上につながるでしょう。

なお、AI-OCRはペーパーレス化を推進するうえでも重要な役割を果たします。紙文書の削減は、保管スペースの縮小と環境負荷の低減に貢献します。金融機関におけるAI-OCR導入は、業務効率化に留まらず、DXを加速させる力となるでしょう。

金融業界でのAI-OCR用途マップ

AI-OCRは金融機関の業務プロセスに変革をもたらします。ここでは主要業務とAI-OCRの活用領域を示し、具体的な貢献について解説します。

業務領域

AI-OCRの活用

貢献

口座開設

本人確認書類、申込書などの情報をAI-OCRでデータ化

入力業務を効率化し、開設手続きを迅速化

融資審査

申請書類や財務諸表を読み取り、必要な情報を抽出

審査プロセスの時間を短縮し、精度を向上

保険金請求

請求書や診断書から必要な情報を抽出し、データ化

迅速な保険金支払い処理を実現

コンプライアンス

各種法令書類や報告書のデータ化

法規制遵守を支援し、リスク管理を強化

契約書管理

契約書のテキスト化と契約期間や金額などの項目を自動抽出

契約内容の確認にかかる時間を短縮し、管理業務を効率化

自社の業務フローを可視化し、AI-OCRを導入することで、業務効率化と顧客満足度向上につなげられるでしょう。

金融機関のAI-OCR導入事例

AI-OCRは、多くの金融機関で導入されており、顕著な成果を上げています。ここからは、貴社が抱える課題を解決するためのヒントとして、具体的な事例を紹介します。

先進的な取り組みの事例を通して、AI-OCRが金融業務にもたらす変革をぜひ参考にしてください。

  1. 広島銀行

  2. SMBCグループ

  3. AI inside

  4. トランスコスモス

  5. ウイングアーク1st

広島銀行—住宅ローン審査業務で67%の入力時間削減

広島銀行では、住宅ローン審査で申込書の約7割が紙媒体だったため、手入力と2人での確認に時間がかかっていました。担当者はFAXで送られた申込書の内容をシステムへ入力しなければなりませんでした。

そこで、AI inside社の「DX Suite」とRPAを導入し、データ入力を自動化したのです。その結果、1件あたりの入力時間を67%削減し、25分の作業が8分に短縮年間約2380時間の工数削減を達成しました。

参考:【銀行DX事例】広島銀行がDX Suite 導入により、住宅ローン仮審査申込書のデータ入力業務を効率化― 年間2,380時間の工数削減を実現

SMBCグループ—AIアシスタント「SMBC-GAI」で顧客対応を高度化

SMBCグループでは、生成AIアシスタント「SMBC-GAI」を開発し、データ分析を通じた顧客対応品質の向上を図っています。従業員の業務効率化に貢献しており、顧客へのサービス向上にもつながることが期待されています。

AI-OCRでデータ化した情報を生成AIで要約・分析することで、顧客ニーズをより深く理解することが可能です。よりパーソナライズされた金融商品の提案や、質の高い顧客対応が実現すると考えられます。

参考:SMBCグループが独自に生み出したAIアシスタント「SMBC-GAI」開発秘話

AI inside—「DX Suite」で多様な帳票に対応

AI insideは、金融業界向けAI-OCR市場で高いシェアを誇ります。主力製品「DX Suite」は、高精度な手書き文字認識が強みです。

多種多様な非定型帳票に対応できるため、金融機関特有の複雑な帳票処理ニーズに応えます。複雑な帳票処理に課題を感じている金融機関にとって、有効なソリューションとなるでしょう。

参考:AI inside、「DX Suite」にAIエージェントを標準搭載し全ユーザへ提供を開始― データ入力業務の常識を覆す次世代の体験へ

トランスコスモス—非定型帳票対応AI-OCRソリューションを提供

トランスコスモスはAI insideと連携し、非定型帳票に特化したAI-OCRソリューションを提供しています。手書きの伝票や契約書など、フォーマットが異なる多種多様な帳票を効率的にデータ化できるのが特徴です。

このソリューションは金融業界を含む幅広い業界で導入されています。オンプレミス型でのサービス提供により、外部サーバーに依存しない高度なセキュリティ環境を構築できるため、機密情報を扱う金融機関でも安心して利用可能です。

参考:トランスコスモスとAI inside、非定型帳票に対応可能なAI-OCRソリューションの提供を開始~オンプレミス型でのサービス提供により、安全かつ効率的なデータ処理を実現~(PR TIMES)

ウイングアーク1st—「invoiceAgent AI OCR」で業務効率化を支援

ウイングアーク1stの「invoiceAgent AI OCR」は、データ抽出に留まらず、既存システムとの連携を容易にします。

これにより、データ入力後のプロセスを自動化し、金融機関全体の業務効率化を支援します。手入力による転記ミスを減らし、確認作業にかかる時間を短縮することが可能です。

参考:スルガ銀行株式会社が、継続的顧客管理における手書き情報のデータ化に「invoiceAgent AI OCR」を導入

今すぐ始める!AI-OCR導入5ステップ

AI-OCR導入を成功させるには、段階的な手順が不可欠です。ここでは、導入を円滑に進めるための5つのステップを解説します。貴社の課題解決に最適なAI-OCRを見つけて、業務効率化を実現しましょう。

課題を特定する

AI-OCRで解決したい課題を明確にします。「住宅ローン審査業務の処理時間を20%削減」のように、具体的な目標(KPI)を設定しましょう。

対象業務を選定する

AI-OCRを導入する業務を選定します。費用対効果を見込みやすく、関連部署の協力が得やすい業務から試験的に始めるのがおすすめです。

PoCを実施し製品を選定する

複数のAI-OCR製品を試用し、自社の帳票との相性や認識精度を比較・評価します。PoC(概念実証)で最適な製品を選定しましょう。

システムを設計し本格導入する

RPAなどの関連ツールとの連携も視野に入れ、現場の業務フローにAI-OCRを組み込みます。システム全体の設計を行い、導入を進めてください

効果を測定し改善を続ける

設定したKPIに基づき、AI-OCRの導入効果を定期的に評価します。運用方法を継続的に見直し、改善を重ねることで、より大きな効果に期待できるでしょう。

AI-OCR導入チェックリストと成功への指針

AI-OCR導入チェックリストと成功への指針

AI-OCR導入を成功させるためには事前の準備が不可欠です。導入前に確認すべきポイントをまとめました。

  • 目的とROIを明確化し、関係者間で合意形成を図ることが重要です。

  • 現場の業務フローを把握し、変化を丁寧に説明して協力を得ましょう

  • 機密情報や個人情報の取り扱いを考慮し、セキュリティ要件を確認します

  • 運用体制を構築し、エラー対応や継続的な改善計画を立てましょう

まとめ:AI-OCRで金融業務の未来を拓く

この記事では、金融業界におけるAI-OCRの定義から導入事例、導入ステップを解説しました。AI-OCRは単なるコスト削減だけでなく、業務効率化や顧客対応の向上にも寄与します。

また、AI-OCRは金融機関の競争力強化に不可欠です。課題解決に向け、本記事を参考に情報収集やベンダーに問い合わせてみてはいかがでしょうか。

AI-OCR導入という第一歩を踏み出して、金融業務の未来を切り拓きましょう。

この記事に関連するお役立ち資料を無料ダウンロード

AIを活用した業務自動化 事例BOOK

AI技術を活用した社内業務効率化の基本から、実際の導入ステップまでをわかりやすく解説しています。

下記フォームにご記入下さい。(30秒)

氏名

*

貴社名

*

ご役職名

メールアドレス(企業ドメイン)

*

具体的なお悩みがあればご記入ください

テックユニットは、下記のような方におすすめできるサービスです。
お気軽にご相談ください。

・開発リソースの確保に困っている方
・企業の新規事業ご担当者様
・保守運用を移管したい方
・開発の引き継ぎを依頼したい方

おすすめの記事

関連する記事はこちら

OCRを導入したのに工数が変わらない理由──「一気通貫で自動化しないと意味ない」と断言できる根拠

OCRを導入して読み取りはできるのに、その後のExcel貼り付けや確認作業は人のまま。「一気通貫で自動化しないと全体工数は変わらない」という構造的な理由と、例外処理・辞書の育て方・ROIの出し方を解説します。この記事でわかること「読み取り部...

「3年前に試して無理だった書類」が今は99.9%で読み取れる──生成AIベースOCRが変えた精度の常識

3〜5年前に諦めたOCRを再度試したら99.9%の性能が出た、という現場が増えています。生成AIベースOCR(VLM)が旧来OCRと何が違うのか。精度99%の実態と、図面・手書き書類への対応力の変化を解説します。 この記事でわかる...

使うのは全体の3割だけ──ChatGPTが社内に定着しない「2つの壁」

大企業でも全社導入後に使っているのは2〜3割にとどまる背景と、社内に定着しない「2つの壁」、そして企業によって定着しやすさに差が出る理由を解説します。この記事で分かること・ChatGPTは3000人規模の大企業でも、全社導入後に使っているの...

「提案は立派なのに何も変わらない」を防ぐーー1問で分かるAI導入コンサルの本当の見極め方

AI導入コンサル選びの失敗パターン3つと、面談で使える見極め方を実務経験から解説。「論点整理だけ」「開発はできるがコンサルはできない」など現場で起きる地雷の正体とは?この記事でわかること-AI導入コンサル選びの失敗は「提案の華やかさ」で選ぶ...

AI外注 vs 内製 どっちが正解?3年やって出た答えは"どっちもコケる"

AI外注か内製かで悩む中小企業向けに、どちらを選んでもコケる理由と、成果が出るハイブリッドの分業モデルを実務経験から解説します。この記事でわかること- フル外注もフル内製も、どちらを選んでも失敗しやすい構造的な理由がある- AI導入の失敗は...

そのデータ、本当にAIに使えますか?活用前に整理したい2つのこと

「AIを使いたいけど、うちのデータって本当に使えるのかな……?」そんな不安を感じている企業は少なくありません。ChatGPTなどの生成AIを導入しても、社内データの状態が整っていなければ、期待した答えが返ってこないことはよくあります。そこで...

Excel・Accessがもう限界?移行を判断する10のサインと、中小企業の現実的な進め方

ある日突然、業務が止まる前に「受注管理のExcelを2人で同時に開いたら壊れた。バックアップがなく、1週間分のデータが消えた。」「Accessのデータベース、作った担当者が退職してから誰も触れていない。クラッシュしたら終わり。」「月末の集計...

AI時代に必要なデータ基盤とは?整理しないとAIは使えない

「AIを入れたのに使えない」の本当の原因「ChatGPTを社内に導入したけど、精度が出なくて結局使われていない」「AIで月次レポートを自動化したいのに、どこから手をつければいいかわからない」こうした声は、AI導入を検討している中小企業のあち...

DX推進室がなくても大丈夫!現場主導のAI活用スモールスタート術  

「AIの導入は、専門のDX推進室や優秀なAIエンジニアがいる大企業だけの話だ」 「我が社には推進できる人材がいないから…」企業の規模を問わず、多くのビジネスリーダーがAIの可能性を感じながらも、人材不足を理由に最初の一歩を踏み出せずにいます...

AIで営業の優先度付けを自動化|売れる3%に集中する方法

「なぜ、あの人だけが常に高い成果を上げ続けるのか?」 多くの営業組織では、一握りのトップセールスが全体の売上の大半を支えるという、いわゆる「属人化」が長年の課題となっています。彼らの持つ勘や経験を組織に共有するのは難しく、多くの営業担当者は...

方法から入るAI導入は失敗する|現場起点のAI定着設計術

「最新のAIツールを導入したが、現場では全く使われず、ライセンス費用だけが無駄になっている…」 これは、AI導入に取り組む多くの企業が直面する、決して珍しくない現実です。鳴り物入りで始まったプロジェクトが、なぜ現場に受け入れられず、静かに形...

AIは指示待ちから先回りへ。次世代AIエージェントとは  

これまで私たちが慣れ親しんできたChatGPTをはじめとする生成AIは、非常に賢いアシスタントでした。しかし、その基本はあくまで「指示待ち」。ユーザーがプロンプトを入力して初めて、その能力を発揮する受動的な存在でした。しかし今、その常識が大...