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現代の日本の医療業界では、少子高齢化により医療資源のニーズは増える一方、労働者は不足しつづけている現状があります。現状の課題解決のため、医療DXにますます注目が集まっています。
この記事では、医療業界のDXは具体的に何をおこなうのか、また課題や実際の事例を紹介しますので参考にしてください。


医療DXとは、医療の各段階で発生する業務やデータにデジタル技術を取り入れ、最適化を図る取り組みです。単なるデジタル技術の導入にとどまらず、医療基盤を最適化することでより良質な医療やケアを提供する改革を意味します。
医療業界のDXの特長は、改革が社会や国民の生活の質の向上にもつながる点です。そのため、業界内で競争性や優位性を求めるよりは、各機関と連携を取り効率化を進める方法が主となります。
また、医療機器の科学技術は進歩しつづけている一方で、インターネットテクノロジーが十分に活用されていない医療業界の現状を変革するためにも医療DXが必要です。
ここでは、さらに医療DXに対する理解を深める以下の2つの点を解説します。
医療業界でDXが必要な理由
医療DXの必要性はコロナ禍でさらに浮き彫りに
医療業界でDXが求められる主な理由は、以下の3つです。
少子高齢化
医療従事者不足
都市部への若者の流入
日本では少子高齢化が進み、それに伴って医療費と医療ニーズも増大しています。一方で、少子化により労働人口は減少しており、医療従事者不足も深刻な問題となっています。
医療従事者の不足には労働環境や待遇の悪化も関係しており、早急な改善が必要でしょう。また、都市に人口が集中した結果、医療従事者や医療設備において都市と地方との格差が広がっている点も医療業界の課題です。
以前から懸念されていた課題に加え、コロナ禍にはさらに医療DXの必要性を浮き彫りにする状況が見られました。
コロナ禍での主な課題は、以下の3つです。
海外生産への依存
システム整備不足
医療機関の経営難
コロナ禍では、一時的に世界的な供給網が分断され、医療ケアに必要な消耗品や機器の不足が起こりました。システム整備不足により医療機関とメーカーの間で在庫情報が一元化できていない状態も、医療物資の供給の滞りの要因です。
また、感染症指定医療機関には患者が集中する一方、院内感染を危惧し受診を控えた小規模医療機関は経営難に直面している点も課題です。

解決するべき課題が多くある現状の医療業界において、DXの実施には多くのメリットがあります。ここでは、主に以下の6つのメリットを解説します。
業務の効率化
医療サービスの質の向上
医療体験の向上
医療情報ネットワーク
オンライン診療
予防医療サービス
医療DXのメリットの1つは、デジタル化により業務効率を向上できる点です。具体的には、以下の業務のデジタル化を検討できます。
院内文書のスキャン作業や転記作業
院内文書の保管・ファイリング
電子カルテと院内文書の紐づけ
問診に関係する事務作業
インターネットで事前予約化
膨大な量になることも多い紙ベースの院内文書は、デジタル化によって管理や転記作業を効率化できます。また、問診や予約など対人業務に関してもデジタル技術を導入し、対応にかかる時間や労力を節減できるでしょう。
医療DXにより院内のデータを有効活用すれば、医療サービスの質の向上につながります。従来の患者データを電子カルテに転記する業務フローの場合、作業の負担が大きく、部門間で情報の共有が十分におこなわれない現状がありました。
デジタル技術を導入すれば、データをリアルタイムで部門横断的に利用できるシステムが構築できます。情報共有の結果として、患者一人ひとりに合わせたサービスが提供しやすくなり、医療サービスの質の向上が期待できます。
医療DXにおいて、デジタル技術は医療スタッフが使用する機器だけではなく、患者の利便を図る目的でも導入されます。たとえば、タブレット画面での問診は、患者の問診表記入の手間を削減できます。診療科間でデータ共有をおこなえば、複数の診療科の受診もスムーズになるでしょう。
また、インターネット予約システムを導入すれば診療前の待ち時間が減少し、ストレスフリーな通院が可能になります。
医療DXは、1つの医療機関が単独で導入するだけでなく、ネットワークを構築することでより大きなメリットが得られます。医療情報ネットワークの構築には、以下の機関同士の連携が求められます。
診療所
大型の病院
薬局
介護施設
患者の医療情報を共有・閲覧できるネットワークがあれば、病院を転院しても経過の確認が容易になります。結果として、より質の高い医療の提供が実現できるでしょう。
ICT(情報通信技術)を活用すれば、オンライン診療が可能になります。オンライン診療は、患者にとって通院の負担や院内感染のリスクを削減できるメリットがあります。
また、地方在住者でも都市部の医療機関を受診できるようになり、医療の地域格差解消にもつながるでしょう。さらに、患者への物理的対応が減るため、医療スタッフの業務負担軽減も実現できます。
近年では、運動や食事管理などにより生活習慣病や疾患などを未然に防ぐ予防医療が注目されています。スマホやウェアラブル端末を使用した個人単位でのヘルスケアが普及すれば、国全体の予防医療レベルが向上します。
予防医療サービスにより医療ニーズの増大を抑え、医療従事者不足の課題も解消できるでしょう。


医療業界においてDXには多くのメリットがある一方、導入の際の課題やデメリットがあるのも事実です。ここでは、検討すべき以下の3つの点を解説します。
ITリテラシーの問題
院内での合意
基盤となるITシステムの問題
医療DXにより最新デジタル技術を導入しても、スタッフや患者のITリテラシーの問題で十分に効果を発揮できない場合があります。導入するシステムは、実際に使用するスタッフや患者の目線に立ち使用しやすいものを選択しなければなりません。
また、従来の業務方式からの移行時には、研修をおこなうなど十分なサポートが必要となるでしょう。
医療DXが効果を奏するためには、院内全体が一丸となって業務改革に取り組む必要があります。複数の診療科を抱える病院の場合、それぞれの部署がバラバラにシステムを導入していてはDXの効果が限られたものとなります。
院内の各部署全体が合意し、部門横断的なシステム導入を目指すことは医療DXの重要な鍵です。
医療DXで活用できるITシステムは数多くありますが、院内に最適なシステム選びをするのは意外に難しく、課題の1つとなるでしょう。
医療現場でのシステム選びは、以下の点に重点を置き検討することが重要です。
院内データと電子カルテの連携の利便性
コロナ禍やテレワークなどイレギュラー対応に応じられるか
特定部署だけではなく病院全体で利用可能か

国も医療DXの重要性に注目しており、厚生労働省が実際に動いている取り組みもあります。以下は、厚生労働省の事例です。
全国医療情報プラットフォーム
電子カルテ情報の標準化
診療報酬改定DX
「全国医療情報プラットフォーム」とは、クラウド間連携により医療機関だけでなく自治体や介護事業者なども含めた情報共有を図る取り組みです。また、医療機関同士のスムーズな情報共有のため、電子カルテの仕様を国として標準規格化する計画もあります。
さらに、診療報酬やその改定に関する作業を効率化するための「診療報酬改定DX」も医療現場の軽減負担に期待できる取り組みの1つです。
国がおこなう医療DXの取り組みの中で注目したいものの1つが、「電子処方箋」です。電子処方箋は、本人の同意のもとに健康保険証やマイナンバーに薬の処方記録を紐づけするシステムです。
複数の医療機 関や薬局で情報の参照できるため、より丁寧な患者対応がおこなえるようになります。また、重複投薬の抑制にもつながるとされています。

現在医療DXに取り組み、すでに効果が見られている企業の実例もあります。ここでは、以下の3つの事例を紹介します。
Coloplast
ソフトバンク
大成建設
コロプラスト社はストーマ用装具(人工肛門)の開発・製造メーカーです。DXの取り組みとして、ストーマ袋やカテーテルのメンテナンスを支援するアプリの開発をおこないました。
医師の指示のもと、日々の医療器具の使用に関するルーチンを管理できるシステムの構築に成功し、患者の生活の質に貢献した好例です。
ソフトバンクは、⾝体に関するあらゆる悩みをサポートするヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」を開発しました。医療専門チームに24時間365⽇チャット形式で相談できる健康医療相談は、病気が重症化する前の未病対策に役立ちます。
福利厚生の充実や健康経営指標の加点を目指す企業にとって一助となるサービスです。
大成建設は、国立国際医療研究センターと共同で「集中治療室向け医療機器遠隔操作ロボット」を開発しました。非接触エリアから医療機器を遠隔操作し治療をおこなうロボットは、医療従事者の感染リスクの低減に効果があります。
当プロジェクトを第一弾とし、今後も大成建設では医療従事者の業務支援用ロボットの開発が進められる予定です。

病院でもDXに成功している事例があります。ここでは、以下の2つの取り組み事例を紹介します。
AI自動音声応答
オンライン問診票
AI自動音声応答とは、AIにより音声を認識し、電話オペレーター業務を代行するシステムです。医療業界においては、ワクチンの接種予約などに活用されています。24時間自動応答のAIが受電し、接種希望日と空き状況を確認する仕組みです。
膨大な数の入電のあるワクチン接種予約に自動音声応答システムを導入すれば、人員コストの削減につながります。また、データ管理システムと連携すればバックオフィス業務まで自動化でき、より幅広い活用が期待されます。
オンライン問診票とは、患者が受診前にオンラインで問診表を入力するツールです。事前に問診表の回収ができるため、医療スタッフの負担軽減につながります。
また、患者の待ち時間を短縮できるため、利便性の向上や感染症対策にも効果が期待できます。
【関連記事】【47選】DXの事例集|業界別の取り組みと推進の成功事例まで解説

ここでは、医療業界のDXに関してよくある以下の2つの質問に答えます。
日本の医療DXは海外と比べて遅れている?
医療DXと骨太の方針2022との関係は?
日本の医療DXは、海外に比べて遅れている現状です。医療DXの導入において、以下の課題が挙げられます。
ITリテラシーの向上
各部署の連携
医療システムの普及課化
日本の医療DXは遅れている一方で、少子高齢化や労働者不足などの背景により導入のニーズはますます高まっています。厚生労働省でも、DXに力を入れた取り組みがおこなわれており、今後に期待されます。
「骨太の方針2022」とは、2022年6月27日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針のことで、医療DXに関する内容も含まれています。医療領域では「医療DX推進本部(仮称)」が立ち上がり、厚労省以外からの外圧によるデジタル化の推進が進められる見込みです。
医療DX推進本部では、以下の取り組みが予定されています。
オンライン診療の促進
AIホスピタルの推進
全国医療情報プラットフォームの創設
保険医療機関・薬局にオンライン資格確認の導入を義務付け
デジタルヘルスサービス関連の認証制度や評価指針
PHRの推進

少子高齢化により医療ニーズが高まる一方、医療従事者の人手不足が見られる医療業界において、DXは必須です。DXにより、業務の効率化やデータの一元化が可能になり、医療従事者の負担軽減に期待できます。
また、患者にとってもストレスフリーな通院や未病予防などにつながります。医療DXは企業の優位性を高めるだけではなく、社会全体に貢献するものとして国も重点を置いている取り組みです。
DXを検討した際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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