現在さまざまな業種の企業におけるDX推進が進んでおり、不動産業界でも例外ではありません。不動産業界では、情報や契約書管理などデジタル化が導入できる分野が多くあり、DX導入には大きなメリットがあります。この記事では、不動産業界のDX化のメリットと、成功事例を紹介しますので、参考にしてください。【不動産業界のDXならテックユニット】不動産業界のDXを検討した際には、ぜひテックユニットをご検討ください。DXは明確な目的を策定し、トップ層だけに限らず社員にまで周知する必要があります。また、一定のITリテラシーを保有した人材を用意しなければならず、体制整備にも時間がかかります。テックユニットでは、プロジェクトごとに最適な体制を設計し、メンバーをアサインすることで、成功確度を引き上げます。また、一般的な受託開発の範疇に留まらず、クライアント様と共創型でプロジェクトを推進しています。開発チームを内製化されたい方にも適したサービスになりますので、お気軽にお問い合わせください。>>月額制アジャイル開発(テックユニット)の詳細はこちら不動産業界におけるDX不動産業界においてDX推進が求められる背景には、以下のものが関係しています。業界のアナログ常態化顧客ニーズの多様化人手不足の顕在化不動産業界の特徴として、業務は膨大なデータを扱う内容が多いにもかかわらずアナログな手法が常態化している状況があります。一方で顧客は直接店舗に足を向けるよりも、インターネットやスマートフォンを活用した部屋探しを求めるようになっているため、顧客に合わせたサービスへ変化が必要です。また、不動産業界では非効率的な業務が原因で人手不足が顕在しています。残業時間の多さから離職率も高い状態となっており、改革が必要といえます。そもそもDXとは?企業にとってDXとは、デジタル技術を用いて日常業務からビジネスモデルにいたるまで革新的な改革をおこなうことです。変化の多い現代市場において企業が生き残るためには、新しいサービスやビジネスモデルを生み出し競争力を高める必要があります。DXは、単にデジタル技術を導入するだけにとどまらず、企業にとって新しい価値を創出し、優位性を確立する目的を持ちます。【関連記事】DXとは?事例も含めてプロがわかりやすく簡単に解説不動産業界でDXを推進するメリット不動産業界でDXを推進することには、多くのメリットがあります。ここでは以下の5つのメリットを解説します。業務の効率化労働環境改善人手不足の解消コスト削減顧客満足度の向上業務の効率化アナログでおこなっていた作業をデジタル化するなら、業務の効率化が図れます。たとえば、紙ベースで管理していた情報をデジタル管理すれば社内外での情報共有が容易になり、作業も簡略化できます。結果として人件費や工数の削減、ヒューマンエラーの防止などにつながるでしょう。労働環境改善デジタル化すれば、手作業や単純作業の業務を効率化できるため、長時間労働や残業過多などの労働環境を改善できます。物件査定などの高度なスキルを必要とする業務も、ツールの導入により社員個人の能力に関わらず誰でもおこなえるようになり、業務が統一化しやすくなります。人手不足の解消物件査定など限られたベテラン社員のみが担当できる業務が発生すると、若手育成のための時間が割けず人手不足に陥りやすくなります。AIを活用した価格査定システムなどのデジタル技術を導入すれば、操作方法を習得するだけで新人でも同じ業務が担当できるようになります。結果として、特定業務を担当できる人材が足りない人手不足の課題も解決できるでしょう。コスト削減不動産業界では、多くの物件や顧客情報の資料を管理する必要があります。アナログな手法でかかる紙やインク、管理するためのスペースなどのコストはデジタル化によって大きく削減できるでしょう。また、単純作業が効率化されることで、人件費の削減にもつながります。顧客満足度の向上業務のデジタル化は、現代のユーザーニーズにもかなっており、積極的に導入するなら顧客満足度を向上できます。近年不動産業界でもインターネットでの物件探しが主流になっており、店舗を訪れずに手軽に物件を確認できるサービスが求められているからです。顧客のニーズに素早く応えた新規サービスを開発するなら、競合と差別化した新たな価値を提供できます。不動産業界のDX化で発生する課題とデメリット不動産業界においてDXを推進することには多くのメリットがあります。一方で、その過程では課題やデメリットが発生するのも事実です。ここでは、以下の5つのデメリットを紹介します。前例の少なさツール選定の難しさ時間とコストアナログな商慣習の変革消費者ニーズの変化前例の少なさDXに取り組む不動産企業は少ないのが現状です。前例が少ないため、適したDXの手法を見つけるのが困難な場合もあります。しかし、大手企業を始めとしてDXの取り組みや成功事例は増えつつあります。他業種でも、自社の課題や改善点が似ている事例を参考に最適なツールを見つけ出せるかもしれません。前例が少ない手法は競合との差別化が図りやすいポイントでもあり、チャンスとみなすこともできるでしょう。ツール選定の難しさ現在不動産業界向けの業務改善ツールも多く開発されています。同じ業務に使用するツールでも、それぞれ特徴や料金体系の違いなどがあり、自社に適したものを選ぶのが難しく感じるかもしれません。適当に選んでしまうと、必要な機能の不足や操作性の複雑さなどのせいで使いこなせず既存のシステムに戻ってしまう場合もあります。自社の課題解決の目的にあった機能が充実しており、操作性の高いツールを慎重に検討しましょう。時間とコストDX推進の成果が出るまでには、ある程度の時間とコストがかかる点もデメリットとなり得ます。DX化のプロジェクトは長期的な視点で試行錯誤しながらおこなう必要があります。すぐに成果がないからといって途中でやめてしまったり、予算が足りなくなったりなどして中途半端に終わってしまうとDX化の成果が得られません。成功させるためには、一定期間プロジェクトを推進できる十分な予算とリソース確保も必要となります。アナログな商慣習の変革不動産業界では、アナログな商慣習が根強い傾向があるため、社内変革が思うように進まない可能性もあります。社員がデジタル化に慣れず、新しい業務手法が歓迎されない場合もあるでしょう。移行期間は作業効率が落ちたり、混乱が生じたりする可能性も考慮しておくべきです。なるべくスムーズにデジタル化へ移行するためには、事前に研修をする、マニュアルを準備するなどの細やかな準備が必要です。消費者ニーズの変化消費者ニーズは常に移り変わっており、その速度もますます増しているのが現代の市場の特徴です。そのため、DXプロジェクトを始めても、その成果が現れる前に消費者ニーズが変わってしまうリスクもあります。多くの企業がDX推進をおこなっている中、差別化を図るためには最新の市場ニーズにあったビジネスモデルが必要となります。DX推進の一環として新規サービス開発をおこなう場合は、常に現状の市場ニーズを分析し柔軟に方向転換していくことが求められるでしょう。不動産業界でDXを進めるためのポイント不動産業界でDXを進める際のポイントは、以下の5つです。DXを推進する組織づくりDXの目的の明確化人員の確保システムの導入不動産テックを知るDXを推進する組織作り不動産業界に限らず、DX推進を成功させるためには、組織体制が欠かせません。DX先進国である米国の企業では、以下の人員が協調してDXを進めることを重視する傾向にあります。経営者IT部門業務部門具体的なDXプロジェクトを開始する前に、DX担当部門を設置し他の部署と連携を図るなどの組織面の前準備をおこなうとよいでしょう。DXの目的の明確化DXを導入するに当たって、自社の課題と目標を明確にしておく必要があります。現在、企業のDX導入は一種のトレンドになっています。しかし、導入が最終目標になっていると社内の実態とマッチせず失敗に終わる可能性が高いです。成功のためには組織全体で明確な目標を定め、具体的なビジョンを設定する必要があります。人員の確保DX推進のためには、デジタル技術の基本知識や応用能力を持つ人材が必要です。知識や技術が不足した状態でDXを始めると失敗するリスクが高いです。社内にデジタル技術を持つ人材が不足している場合には、DXパートナー企業の力を借りる選択肢も検討できるでしょう。システムの導入DX推進に欠かせないのは、システムの導入です。新システムは、既存業務の効率化のみならず、新しいビジネスモデルの創出や企業風土の改革まで達成します。最新のデジタル技術を用いたシステムの導入はDXの要といっても過言ではありません。そのため、自社の課題にあったものを慎重に検討する必要があります。不動産テックを知る不動産業界のDXと密接な関係があるのが、不動産テックです。不動産テックとは、不動産業界にテクノロジー技術を取り入れることを指し、主に以下の3つの種類に分かれます。価格可視化・査定系マッチング系物件情報・メディア系近年では、3Dプリンターを使用した家づくりなどの開発も進んでおり、格安でマイホームが購入できる時代の到来が期待されています。これにより住宅販売市場にも大きな変化が訪れると予想されます。こうした最新の不動産テックの情報に精通しておくことは、DX推進の大きな力になるはずです。>>月額制アジャイル開発(テックユニット)の詳細はこちら【補足】不動産テックとDXとの関係不動産テックとは、不動産業界にテクノロジー技術を取り入れることで、不動産業界に特化したDXの取り組みの一部といえます。テクノロジー技術の導入は、既存業務の効率化だけでなく、AI活用によるニュービジネスの創出やP2Pによるクラウドファンディングなど新しいビジネスモデルの誕生の可能性を大きく秘めています。不動産DX化に役立つ不動産テックカオスマップDX推進を成功させるためには、情報収集も欠かせません。データやデジタル活用に関する啓蒙活動をおこなう団体に「不動産テック協会」があります。不動産テック協会では、「不動産テックカオスマップ」など不動産業界のDX推進に役立つ最新情報を多く発信しています。同団体の動向に注目し、最新情報を収集すると効果的なDXがおこなえるはずです。参考:不動産テック協会 不動産カオスマップ不動産業界でDXに推進した企業の事例ここでは、実際の不動産業界でDX推進に成功した事例を紹介します。紹介するのは、以下の5社の事例です。三井不動産東急不動産野村不動産GA technologiesワールドウィン三井不動産のDX事例三井不動産では、顧客満足度向上と社会課題解決を目指し、幅広い既存事業のほぼ全てで同様にDX推進をおこなう取り組みをしました。その結果、物件購入における全書類・諸手続きの電子化や会計システムのフルクラウド化など業務効率の改善に成功しています。また、データを活用した顧客視点により、既存サービスの改善・新サービス開発に取り組んでいます。東急不動産のDX事例東急不動産ホールディングスは、DX施策の推進・支援を行う新会社「TFHD digital 株式会社」を設立しました。デジタル活用により自動化・省力化が可能な業務の工数削減に取り組んでいます。また、顧客が自ら情報を選ぶためのリアルとデジタルのシームレスな体験の創出にもデジタル技術を導入しています。野村不動産のDX事例野村不動産では、荷主企業・物流企業のDX推進のための企業間共創プログラム「Techrum(テクラム)」をおこないました。Techrumは、デジタル機器メーカーや物流システムを提供するソフトウェア会社などとの連携により、物流企業をサポートするプログラムです。物流倉庫内におけるさまざまな作業に対応したソリューションを提供し、物流業界の課題を解決することに成功しています。GA technologiesのDX事例GA technologiesは、「デジタルトランスフォーメーション調査2020」において「DX銘柄2020」に選出された企業です。煩雑な業務プロセスはAIやRPAなどでデジタル化し、相談や契約などは人がサポートするリアルとテックを融合したサービスを展開しています。また、自社開発・活用している業務支援システムをSaaSとして提供し、不動産業界全体のDX推進にも貢献しています。ワールドウィンのDX事例ワールドウィンは、ツールの導入によってテレワークの推進と電子契約を実現しました。既存の契約業務は、顧客一人当たりに時間が多くかかるため、働き方改革の推進や対応力の強化が課題でした。電子契約サービスの導入により、オンラインの手続きが可能になり、テレワークの移行や労働時間の短縮に成功しました。また、顧客にとっても審査から契約締結までの時間短縮につながり、満足度が向上する結果となっています。DXの推進で顧客ニーズに対応を不動産業界の現状の課題には、アナログ業務の常態化による長時間勤務や人手不足などが挙げられます。また、インターネットを利用した物件探しに対する顧客ニーズも高まっており、DX推進がますます求められる状況です。不動産業界においてDX推進を成功させるためには、自社の課題に適したシステム選びと、デジタル知識を持つ人材の確保が重要なポイントといえるでしょう。【関連記事】【47選】DXの事例集|業界別の取り組みと推進の成功事例まで解説