近年の社会背景により、小売業は生き残りの難しい状況が見られます。消費者ニーズの変化についていくためには、DXが欠かせません。DX導入の前に、メリットや課題について知っておくと成功に役立つでしょう。この記事では、小売業DXにおける課題や成功事例を解説しますので、参考にしてください。【小売業のDXならテックユニット】小売業のDXを検討した際には、ぜひテックユニットをご検討ください。DXは明確な目的を策定し、トップ層だけに限らず社員にまで周知する必要があります。また、一定のITリテラシーを保有した人材を用意しなければならず、体制整備にも時間がかかります。テックユニットでは、プロジェクトごとに最適な体制を設計し、メンバーをアサインすることで、成功確度を引き上げます。また、一般的な受託開発の範疇に留まらず、クライアント様と共創型でプロジェクトを推進しています。開発チームを内製化されたい方にも適したサービスになりますので、お気軽にお問い合わせください。>>月額制アジャイル開発(テックユニット)の詳細はこちら小売業のDXはなぜ必要なのか小売業でDXが必要な背景には、時代の変化や社会情勢の影響が大きく関係しています。2000年代以降にはインターネットの普及とともに、小売の形態に変化が訪れました。ECの利用拡大により店舗での販売機会は減少し、ネット販売に参入していない小売企業にとっては生き残りが厳しくなった状態です。また、2020年以降にはコロナ渦の影響もあり、ネット通販の需要がますます拡大しています。さらに社会全体でのキャッシュレス化も進んでおり、決済方法の多様化が求められれたことで、時代についていくためにもDXが不可欠となりつつあります。小売業は最終消費者に近い立場にあるため、DXの推進は必要不可欠となっていく見込みです。日本国内のdx市場規模と投資金額また、市場規模の変化から見ても、DXの重要性がうかがえます。株式会社富士キメラ総研がおこなった調査「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」によると、国内における2019年度のDX市場規模は7,912億円でした。同社の企業投資計画調査に基づく予想によると、2030年度には3兆425億円まで市場規模が成長すると見込まれています。小売業DXのメリット小売業でDXをおこなうなら、以下の5つの分野でメリットが得られます。店舗運営ECサイト運営マーケティング物流小売DXでトレンドの戦略OMO店舗運営小売業における店舗運営においてDX導入できる分野の例は、以下の通りです。在庫管理発注作業キャッシュレス決済無人レジシステムAIを使用した在庫管理自動化により、業務負担を減らせる点はメリットです。AIが在庫データを分析・学習し、最適な発注をおこなうなら、過剰発注や売れ残りの防止にもつながります。また、キャッシュレス決済や無人レジシステムの導入により顧客の待ち時間を削減し、サービスに対する満足度を高められます。ECサイト運営小売業におけるECサイト導入は、小売DXの主要要素の1つといえます。ECサイト運営には以下のメリットがあります。購買データの管理がしやすい全世界のユーザーを対象にできる販売スタッフの人件費削減小売業におけるECサイトでは、AIによる顧客の購買データ分析により、最適な商品提案が可能です。また店舗販売の場合、ターゲットは来店できる顧客に限られるのに対し、ECサイトは地域に関係なく顧客獲得が可能です。外国語変換や海外標準の決済機能を導入すれば、全世界のユーザーも対象にできます。ネットショップは24時間利用が可能で、店頭に立つ接客担当スタッフの人件費を削減できる点もメリットです。マーケティング小売業におけるDX導入により、購買情報や顧客情報などのデータ獲得や分析がしやすくなり、より効果的なマーケティング戦略の立案につながります。店舗販売の決済システムやECサイトの購買履歴などから以下の情報の収集が可能です。商品が購入された日時購入個数同時購入されることの多い商品購入者の性別・年代収集・分析したデータをもとに、よりニーズの高い商品の入荷や開発をおこない、売上の拡大につなげられるでしょう。物流小売業における物流業務にもIT技術の導入ができます。倉庫内作業をロボットが担うなら、人手不足の解消や業務効率化が可能です。現在配送をドローンが担う実証実験も進められており、交通渋滞による配送遅延の課題に対する解決策として期待されています。小売DXでトレンドの戦略OMOOMOとは、「Online Merges Offline」の略語で、オンライン販売と店舗販売の融合を意味します。モバイル端末の活用が進んでいる中国のベンチャーキャピタル、SINOVATION VENTURESの創業者のリ・カイフ氏が提唱しました。スマホのアプリを経由し、ECサイトの閲覧履歴や実店舗訪問履歴を関連付け、同一のユーザーデータに統合する仕組みです。このシステムにより以下のサービスの提供が可能になります。店頭受取予約モバイルペイメント店頭商品のお気に入り追加機能自宅配送収集データをもとにしたパーソナルサービススマートフォン上で近隣店舗のお得なクーポンを利用し、注文まで完了した上で商品を店舗で受け取るサービスは代表的なOMOの活用法といえます。また、店頭の決済や気になる商品の保存などもアプリ上で一括管理できます。顧客の行動履歴をもとに、最適なタイミングで新商品やサービスのアプローチをおこなうパーソナルサービスにも活用できるでしょう。現在中国で大幅に活用されているOMOは、今後日本でもモバイル化の普及によりニーズが高まっていくものと予想されます。小売業のDXを行った企業の事例企業がDXをおこなう際には、他社の成功例を参考にすると成功のヒントが得られます。ここでは、以下の小売業DX事例7つを紹介します。株式会社平和堂のDX事例ローソンのDX事例三越伊勢丹のDX事例無印良品のDX事例IKEAのDX事例ユニクロのDX事例日本調剤株式会社のDX事例株式会社平和堂のDX事例株式会社平和堂は、滋賀県を中心にスーパーマーケットを展開する会社です。DXの取り組みとして、発注業務におけるAI自動予測システムの試験的導入をおこないました。商品発注数を自動的に算出するAI自動予測システムの活用により、作業時間や欠品・廃棄ロスの削減が期待されています。発注作業時間の削減により、対人接客や店舗整備に注力することも導入の目的としています。ローソンのDX事例大手コンビニストアのローソンでは、AI技術を用いた半自動発注システムを導入しています。システムの活用により、店舗同士が連携の取れた発注をおこなえるようになりました。また、スマホレジやPOSレジ、セルフレジの導入も進めています。IT技術の導入により、レジ対応の時間や労働力の削減につながっている好例です。三越伊勢丹のDX事例百貨店「三越伊勢丹」では、リモートショッピングアプリを導入しています。顧客がビデオチャットにより商品を確認し、オンライン接客が受けられるシステムです。顧客にとって、実店舗に行かなくてもその場にいるような接客が受けられるメリットがあります。店舗とECサイトの連携を果たした成功例といえます。無印良品のDX事例無印良品のアプリ「MUJI passport」は、DXにより顧客満足度を高めた好例です。同アプリでは、店舗を訪れたり商品を購入したりするとポイントが付与される機能を搭載しており、顧客が来店したくなる仕組みを設けています。また、アプリからの在庫確認も可能で、品切れによる顧客の不満も解消しています。2013年のリリース以降4年間で1,000万ダウンロードを記録しており、大きな成功しているといえるでしょう。IKEAのDX事例家具販売の世界的企業「IKEA」は、スモール店舗におけるDXをおこなっています。店舗内で商品を確認し、実際の注文はオンラインでおこなう仕組みです。在庫を店舗内に用意しないため保管スペースの必要がなく、効率的な運営がおこなえます。集客率が高い一方で、物件費用も高い都心部での出店に適したDX活用事例となっています。ユニクロのDX事例ユニクロでは、スーツ注文サービスにDXを導入しています。顧客が店舗でサンプルを試着し、採寸も済ませたうえでオンライン注文すると、オーダーメイド風のスーツが自宅に届くサービスです。専用倉庫に準備された在庫から発送するため、数日で素早く商品が届きます。オンラインと実店舗サービスの利点を組み合わせた好例といえるでしょう。日本調剤株式会社のDX事例日本調剤株式会社は、診察から薬の受け取りまでシームレスにおこなえるスマート医療に取り組んでいます。スマート医療には、以下のIT技術が活用されます。IoTやVR(仮想現実)AR(拡張現実)ビッグデータこれらの技術により、本来対面でしかおこなえなかった医療サービスや、データ収集・管理が可能になります。医療サービスのオンライン化により、地域医療格差の改善や早期受診による病気の重症化予防にもつながるとされています。個々にあわせたプロダクトの提供が求められるサービスにDXを活用した例として、小売業にも応用できる事例でしょう。【関連記事】【47選】DXの事例集|業界別の取り組みと推進の成功事例まで解説 小売業のDXを進める会社の課題小売業のDXには多くのメリットがありますが、導入の際には課題があるのも事実です。ここでは、主に以下の3つの課題を解説します。経営戦略の検討不足既存システムとの共存人材不足経営戦略の検討不足経営戦略の検討は、DX導入の要といっても過言ではありません。DXにはデジタル化だけではなく、社内変革が含まれます。経営戦略が十分でないままデジタル化だけがおこなわれると、IT技術導入の必要性が不明瞭になります。結果として変化についていけない部署や部門が現れ、混乱を招くことになりかせません。DXの成功には、IT技術を用いて成し遂げたい目的を明確にしておく必要があります。既存システムとの共存新システムを導入する際には、既存システムの現状を把握し、スムーズな移行を目指す必要があります。しかし、社内に既存システムを把握している人員がおらず不透明化している場合、DX推進にとっての障壁となるでしょう。またシステムを一新する場合、移行期間にはある程度の業務効率低下は避けられません。長期的なメリットも考えたうえで、既存システムの継続使用と新システムへの移行のバランスを検討する必要があります。人材不足現在多くの企業がDX推進に力を入れているため、全体的に見てIT人材は不足傾向にあります。そのため、社内に新たにIT人材を採用しようとしても確保が難しいかもしれません。社内でIT人材の採用・育成をおこなう他に、社外パートナーに委託する方法もあります。第三者を交えてDXをおこなうなら、改革の際の部署・部門間での対立を避けられるというメリットもあり、検討できる方法の1つです。小売業のDXのよくある質問ここでは、小売業DXに関してよくある以下の2つの質問について解説します。店舗DXの意味は?店舗DXのメリットは?店舗DXの意味は?店舗DXとは、IT技術を店舗に取り入れ、業務プロセスの改善や顧客の満足度向上を目指すことです。単にIT技術を導入するだけではなく、店舗の価値向上を主な目的とします。具体的な施策には以下が挙げられます。キャッシュレス決済の導入顧客データの電子化ICタグ導入セルフレジ導入AIカメラによる計測店舗専用アプリ導入店舗DXのメリットは?店舗DXには以下のメリットがあります。業務効率化生産性向上顧客満足度の向上人為的ミス削減集客力向上これまでスタッフが手動でおこなっていた情報処理業務や会計処理業務などにIT技術を導入すると、効率化や生産性向上につながります。手作業による人為的なミスを削減し、対人サービスにより集中することにより、顧客満足度も向上するでしょう。また、収集データをもとに適切なタイミングやアプローチ方法で販促を行い、集客力を向上できます。DXの推進ならテックユニット近年コロナ禍やネット通販の普及などの社会的変化により、小売業にとって厳しい状況が見られます。時代の変化についていき、生き残れる企業になるためには、DX推進が欠かせません。小売業におけるDXにはいくらかの課題もあります。しかし、成功事例を参考に自社にあった改革を進めるなら、変化を続けていく市場において独自の価値を提供する企業へ成長できるでしょう。小売業でDXをご検討でしたら、ぜひお気軽にお声がけください。