スプリントレトロスペクティブとは、チームを改善し、さらなる高みを目指すために必要不可欠なスプリントの工程の1つです。今後の開発において、チームとして成熟し、プロダクトを完成させるためにも重要なものとなります。今回は、そんなスプリントレトロスペクティブの概要や目的、実際の手法と流れを解説・紹介します。【開発チームを探すならテックユニット】月額契約で貴社専属の開発チームをご用意し、スプリントレトロスペクティブを含めてプロジェクトを推進します。従来の開発スタイル(一括請負)の課題を解決し、テック部門をすぐに設立できるテックユニットで、新しいプロジェクトから既存システムの改修まで対応できます。テックユニットは、下記のような方におすすめできるサービスです。お気軽にご相談ください。・開発リソースの確保に困っている方・企業の新規事業ご担当者様・保守運用を移管したい方・開発の引き継ぎを依頼したい方>>テックユニット(月額制アジャイル開発)の詳細はこちらスプリントレトロスペクティブとはスプリントレトロスペクティブとは、アジャイル開発のスプリントにおける「最後の振り返り会議」のことです。スプリント(開発者が実際に作業を実施して成果物を作る工程)は以下の4つに分類され、スプリントレビューのあとに行われるのが通常です。スプリントプランニングデイリースクラムスプリントレビュースプリントレトロスペクティブ(今回のテーマ)なお、スプリントレビューは「成果物やバックログに基づいて議論する」目的がある一方で、今回のレトロスペクティブには「スクラムチームそのもの」を対象として改善・育成する趣旨があります。次のスプリントに向けて、順調に進められた内容と、課題を残して改善の余地がある作業について議論・検討・振り返りを実施し、より良いチームへと成長するために欠かせない工程がスプリントレトロスペクティブです。なお、スプリントレビューの詳細やレトロスペクティブとの違いについては、以下のページにまとめているので参考にしてください。【関連記事】スプリントレビューとは|概要や目的・やり方をわかりやすく解説スプリントレトロスペクティブの目的スプリントレトロスペクティブの目的は、次のスプリントの品質や効果を高めるために、チームを対象として改善・育成するための議論を行うことです。スプリント単位で振り返りを実施することで、解決すべき課題や人間関係の問題、実施すべき内容の最適化等を実施します。スプリントレトロスペクティブは、振り返りという意味合いが強く、非効率的なプロセスを続けてプロジェクトが難航するといった側面をただし、全体の進行をスムーズにする役割を担います。また、開発効率を高められることで、提供できるサービス・製品の品質もより良いものへブラッシュアップできることも期待できるでしょう。スプリントレトロスペクティブの事前準備スプリントレトロスペクティブを実施する前に準備しておきたい項目を、以下の3つにわけて紹介します。タイムボックス参加者手法タイムボックススプリントレトロスペクティブの事前準備として、タイムボックス(いわゆるかける時間の予定)を考えます。振り返る内容の多さによっても異なりますが、およその時間はスプリントが1週間の場合で30〜45分程度、2週間である場合は1〜1.5時間が目安です。長く時間を取ることが目的ではありませんので、適切な時間で濃い内容にまとめるためにも、スプリントレトロスペクティブでどのような話を進めるのかをしっかりと決めておくことが無駄な時間を削減するコツです。参加者次に、スプリントレトロスペクティブの参加者ですが、主に開発へ関わっているチーム全体で実施します。プロダクトオーナーに限らず、スクラムマスターや開発者に至るまで参加を必須(必要に応じて不参加も検討)とし、お互いが意見を交換できるようにいずれも発言権を持って進めることが大切です。個人・チーム・プロセス・ツール・完成などの定義に対し、議論を行うためにも参加者が決定したあとには振り返りに必要な手法も決定します。手法振り返りに欠かせないのが、スプリントレトロスペクティブの手法です。代表的な手法を以下にまとめたので、どのように検査するのかによって見極めてください。手法方法KPT(ケプト)良かったこと(Keep)・問題・課題(Problem)・挑戦すること(Try)で現状を分析する現状分析による次のアクションを明確化しやすいFDL(ファン・ダン・ラーン)楽しかったこと(Fun)・やったこと(Done)・学んだこと(Learn)で現状を分析するモチベーションを高く保ちやすいKDA(ケー・ディー・エー)良かったこと(Keep)・やめること(Discard)・新たに取り組むこと(Add)で現状を分析するアクションを削減しやすいTimeLine(タイムライン)X軸に時系列順のイベント・Y軸に感情に沿ったプロットで現状を分析する感情面からの振り返りでモチベーションを保ちやすいYWT(やったこと・わかったこと・つぎやること)やったこと(Y)・わかったこと(W)・つぎやること(T)で現状を分析する経験や学び・気づきからスプリントに活かす方法を明確化しやすいなかでも、KPT(ケプト)はよく使われる手法であるため、迷ったときの鉄板として使ってみることをおすすめします。スプリントレトロスペクティブの流れ|KPTを例に解説ここからは、実際にKPTを用いてスプリントレトロスペクティブの流れを以下に沿って紹介します。必要なものを準備する(ミーティング前)レトロスペクティブの目的・進め方を共有良かった点を洗い出す(Keep)問題・課題点を洗い出す(Problem)挑戦する内容を決定する(Try)必要なものを準備する(ミーティング前)まず、レトロスペクティブに必要な以下のものを準備します。ホワイトボード:スクラムチーム全体に共有する付箋(人数分):各々が良かった点や課題点を書き込むペン(人数分):付箋を使う際に必要となるなお、テレワーク等によってオンラインで実施する場合には、準備物としてツールを活用することも検討します。例えば、ボードであればTrello、ホワイトボードであればMiroといった形です。Macのアプリといった代替品でも構いませんので、洗い出し等ができる状態を作れる状態にすることが大切です。一言メモ参加者が守るべきルールとして、以下の項目を準備しておくと発言しやすく、意見交換しやすい環境づくりを実践できます。なかなか意見が出てこなかったり、軋轢が発生しそうだったりする場合には試してください。・全員が常に最善を尽くしている前提とする・積極的に参加して当事者意識を持つこと・一人で話しすぎずインプットにも注力する などレトロスペクティブの目的・進め方を共有レトロスペクティブの目的・進め方を、スクラムチームに説明します。主にスクラムマスターが実施するため、どのような目的で行うのか、どう進めるのかなど伝えておくべき項目をまとめておくとスムーズです。また、およその流れも伝えておくと、進行しやすくなります。なお、目的や進め方の共有はチームに一定以上浸透した場合、実施せずにすぐに次のステップへ移行しても構いません。良かった点を洗い出す(Keep)全員分の付箋とペンを配布し、まずは良かった点(Keep)を上げていきます。各自が付箋に書き込みます。また、似通った意見は近くに集めておきます。また、何も思いつかない場合でも、何をしたのか(実践したことは何か)を書き、言語化することが大切です。続けること・良いことに焦点を集めて書いてください。なお、Keepを先にする理由は、ネガティブな空気を作り出さないことが目的です。信頼関係が築けていない場合は、意見を出しにくくなるといったデメリットが発生するため、チームとして成熟するまでは順番を徹底しましょう。問題・課題点を洗い出す(Problem)次に、同様の方法で問題・課題点を洗い出します。不満なこと・不安に感じたことに焦点を当てると、どのようなことが挙げられるか思いつきやすくなります。また、Keepのときと同様に似通った意見は近くに集めておきましょう。Keepと関連性の高いものはわかりやすいように線を引いて繋げておくと整理しやすくなるのでおすすめです。挑戦する内容を決定する(Try)KeepとProblemに挙げられた項目に対する挑戦する内容(Try)を書き込みます。いわゆる改善案として役立ちますし、関連性がなくとも新たに挑戦したいことがあれば書き込んでも構いません。KeepとProblemのなかから関連性の高いものに関しては、線を引いてわかりやすくしておくとより整理しやすくなります。さらに、Tryの意見が多くなってすべて実践するのが難しい場合は、それぞれがいくつかの票を持って投票し、多かったものを決定して議論のポイントや注力すべき事柄を絞り込むことが有効です。なお、一気に取り入れることでその効果が実際に感じられなくなることがあり、アクションすることは1〜3個程度にまで絞り込むことをおすすめします。さらに項目を追加してKPTAというフレームワークもあり、続けて行動すること(Action)を明確化するといったことも可能です。慣れてきた際には、Aも追加して実践すると良いでしょう。決定した内容は、プロダクトバックログの最優先項目に当たる「カイゼン」に加えておくとさらに実践しやすくなります。まとめスプリントレトロスペクティブとは、アジャイル開発のスプリントにおける「最後の振り返り会議」のこと。チームの課題や問題を解決し、次のスプリントへ向けての目標を定めて改善を繰り返し、成熟を促すためにも不可欠です。以下の流れで実施し、成果物を作り上げる最高のチームを目指しましょう。必要なものを準備する(ミーティング前)レトロスペクティブの目的・進め方を共有良かった点を洗い出す(Keep)問題・課題点を洗い出す(Problem)挑戦する内容を決定する(Try)なお、開発チームの用意が間に合わない、アジャイル開発で構築したいものがあるといったご相談はぜひお気軽にお問い合わせください。