資料作成、特にプレゼンテーションに用いるスライドの作成は、多くのビジネスパーソンにとって時間のかかる作業の一つです。内容の構成を練るという本質的な業務に時間を割きたい一方で、デザインの調整やレイアウトの整理といった「見た目を整える」作業に追われてしまう経験は誰しもあるのではないでしょうか。そんな課題を解決すべく、近年急速に進化しているのが「スライド生成AI」です。簡単な指示やテキストを入力するだけで、AIが自動でスライドを生成してくれるこれらのツールは、業務効率化の切り札として大きな注目を集めています。しかし、「本当に実務で使えるのか?」「どのツールを選べば良いのかわからない」といった声も少なくありません。そこで今回は、数あるスライド生成AIの中から特に注目度の高い「イルシル」「Gamma」「Genspark」の3つを取り上げ、それぞれの特徴や使い勝手を徹底的にレビューします。日々の業務でAI活用を推進する代表の岡田と、エンジニアの秋月が、実務目線でその実力を探ります。結論、実用性No.1は日本製の「イルシル」岡田:今日はスライド生成AIをテーマに、以前調べた内容をレビューしていきたいと思います。そもそも、なぜスライド生成AIが流行っているかというと、やはりPowerPointなどで資料を作るのが面倒で、内容を考える本質的な部分にもっと時間を使いたい、というニーズがあるからですよね。資料の体裁を整える作業は、省力化したい部分の筆頭です。そこで、色々なツールを試したのですが、結論ファーストで言うと、僕が試した中で一番良かったのは「イルシル」というサービスでした。秋月:イルシルですか。どういった点が良かったのでしょうか?岡田:一番の理由は、イルシルが日本製なので、日本のビジネスシーンに適合したスライドのテンプレートが非常に多い点です。例えば、後で紹介する「Gamma」は海外の洗練されたプレゼンが作れますし、「Genspark」は資料作成の手前にあるディープリサーチまでやってくれる強みがありますが、生成される資料のデザインは少し海外風なんです。その点、イルシルは日本のビジネスパーソンが「これなら使える」と感じるデザインが揃っています。岡田:これがイルシルのUIで、最近はチャット形式でスライドを生成する機能も追加されました。例えば、作りたいスライドのテーマやキーワードを入力すると、まず構成案を自動で生成してくれます。岡田:この構成案を基に、ボタン一つでスライド全体を生成してくれます。ゼロから作る手間が省けるのは大きいですね。そして、イルシルの最大の特徴が、先ほども言ったデザインテンプレートの豊富さです。秋月:本当ですね、表紙デザインだけでもかなりの数がありますね。緑色のテンプレートが多いように見えますが。岡田:ベースカラーは自由に変更できますよ。「テーマ」機能を使えば、一瞬で全体の配色を青系などに切り替えられます。これは便利ですよね。岡田:AIが文脈を読み取っておすすめのテンプレートを提案してくれる機能もあるのですが、時々的外れな提案もあるので、自分でテンプレート一覧から「どういう目的で使うか」を基に選ぶ方が使いやすい印象でした。秋月:なるほど。AIにざっくり作ってもらって、そこから自分でテンプレートを選んで手を加える、という使い方がしやすそうですね。岡田:その通りです。フォーマットが豊富なので、今後のさらなる進化にも期待できます。他にも、チーム管理機能やPDFでの共有機能もあります。ただ、デメリットを挙げるとすれば、報告書や使い捨ての資料には十分使えるものの、会社の顔となるような営業資料を作るなら、まだデザイナーの力が必要かな、というのが正直な感想です。僕の感性では、という注釈付きですが。UIの美しさとクリエイティビティが光る「Gamma」岡田:次に紹介するのが「Gamma」です。これは海外製のサービスで、イルシルと同様にテキストからスライドを生成できます。このツールの特徴は、とにかくUIが綺麗なこと。そして、スライドが生成されていく様子がアニメーションのようで見ていて面白いんです。秋月:WebサイトビルダーのWIXのような雰囲気を感じますね。とても洗練されています。岡田:まさに「WIXのスライド自動生成版」という表現がしっくりくるかもしれません。生成されるスライドも、海外のスタートアップが使いそうなモダンなデザインです。秋月:この独特のスライドサイズには少し違和感がありますね。Webページのような縦長ですが。岡田:これは後から一般的なプレゼンテーションサイズ(16:9など)に変更できます。最初は驚きますが、最終的にはちゃんと使える形になるので安心してください。無料版だとロゴが入ってしまうようですが、デザインの雰囲気はすごく好きです。意外と使えるかもしれないですね。秋月:そうですね。クリエイティブな発表や、少しデザインにこだわりたい社内プレゼンなどでは、Gammaが強みを発揮しそうです。リサーチから自動化、今後に期待の「Genspark」岡田:最後に紹介するのが「Genspark」です。これは他の2つとは少し毛色が違って、AIエージェントのように振る舞うのが特徴です。秋月:エージェント、というと?岡田:「〇〇についてのスライドを作って」と指示を出すと、まずAIが必要な情報をリサーチし、どのような内容を含めるべきかアウトラインを生成します。そのアウトラインに基づいて、一枚一枚スライドを自動で生成していく、という流れです。岡田:このツールの面白いところは、内部でClaude(クロード)を呼び出して、HTMLでスライドを記述している点です。以前、同じ指示を直接Claudeに与えたら、全く同じものが出てきたので判明しました。秋月:なるほど、そういう仕組みでしたか。自動でやってくれる割には、デザインもまとまっていますね。岡田:以前使った時よりも進化している印象です。ただ、AIが自動で内容を生成するためか、1枚のスライドに情報を詰め込みすぎる傾向があるのが気になりました。これだと、何が重要なのか伝わりにくいですよね。秋月:これは確かにお客様には出せないですね。「見えないし、何が重要かわからない」と言われてしまいそうです。岡田:このあたりは、プロンプトの設計や今後のAIの進化次第で改善される部分だと思います。ただ、個人的には、構成のたたき台はこちらで用意するので、そこまで全自動でなくても良いかな、と感じました。どうせ後から手直しするわけですし。秋月:パパッとたたき台を作ってほしい、というニーズには少し過剰かもしれないですね。岡田:一方で、最後のページに「よくあるFAQ」を自動で生成してくれたり、HTMLベースなので要素にカーソルを合わせるとホバーエフェクトがあったりするのは面白い点です。これはClaudeの性能が上がれば、Gensparkの質も飛躍的に向上する可能性を秘めています。まとめ:用途によって最適なツールは異なる岡田:さて、3つのツールを見てきましたが、まとめると、日本のビジネスシーンでの即戦力、実用性を求めるなら「イルシル」が一番高いです。デザイン性やクリエイティブなプレゼンなら「Gamma」。そして、リサーチから含めた自動化という未来に期待するなら「Genspark」、というのが僕の結論ですね。秋月:なるほど。Gensparkが生成したFAQは、内容が良ければそのまま使えそうで面白いですね。岡田:そうなんです。結局はClaude次第なところもあるので、次世代のAIモデルが登場すれば、Gensparkは一気に化けるかもしれません。現状は、円グラフのような図形が崩れてしまうなどの課題も見られますが。秋月:それぞれのツールに得意なことと、まだ発展途上な部分があるわけですね。非常に参考になりました。岡田:資料作成の自動化はまだ始まったばかり。今後もこれらのツールの進化から目が離せませんね。その業務課題、AIで解決できるかもしれません「AIエージェントで定型業務を効率化したい」 「社内に眠る膨大なデータをビジネスに活かしたい」このような課題をお持ちではありませんか?私たちは、お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、本記事でご紹介したような最新のAI技術を活用して、ビジネスを加速させるための最適なご提案をいたします。AI戦略の策定から、具体的なシステム開発・導入、運用サポートまで、一気通貫でお任せください。「何から始めれば良いかわからない」という段階でも全く問題ありません。 まずは貴社の状況を、お気軽にお聞かせください。>> AI開発・コンサルティングの無料相談はこちら【今回レビューしたツール】イルシル: 日本のビジネスシーンに特化した豊富なテンプレートが魅力の国産スライド生成AI。Gamma: 美しいUIとデザイン性の高いスライドが特徴の海外製ツール。Genspark: AIエージェントがリサーチからスライド生成までを自動で行う、将来性の高いツール。