「掛け率が違う」「FAXが多い」… 卸売業の“ムリ”を解決する受発注システムとは? 属人化をなくし、売上を伸ばす「攻めのバックオフィス」構築術
最終更新日:
2025.11.11

監修者情報

岡田 徹
NOVEL株式会社 代表取締役
大阪大学在学中よりエンジニアとして活動し、複数のプロダクト立ち上げを経験。
2019年2月にNOVEL株式会社を設立。
2022年より生成AI領域に特化し、
AIライティングSaaS『SAKUBUN』(累計70万回利用・2万アカウント)を企画・開発。大手メディアや人材企業・出版企業への導入実績を持つ。
現在は中堅企業向けAIコンサルティングに注力し、製造業・小売業・金融機関など業種を問わず、生成AIの導入から定着までを一気通貫で支援している。
著書: 『2冊目に学ぶ ChatGPTプロンプト攻略術』(C&R研究所、2024年)
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多くの中小企業、特に卸売業の現場から「バックオフィス業務、特に受注処理が限界だ」という悲鳴が聞こえてきます。
なぜ今、受発注業務の効率化がこれほど重要な経営課題となっているのでしょうか。
それは、受注業務が単なる「事務作業」ではなく、売上を作るための「生命線」であると同時に、企業の「リスク管理」そのものだからです。
機会損失の防止:
「いつも月5件の注文が急に20件来た」場合、それは単なるラッキーでしょうか? もし入力ミスなら、15件分の過剰在庫を抱えるリスクになります。逆に、需要急増のサインかもしれません。効率化されていない現場では、この変化に気づけず、機会損失を生む可能性があります。
重大な経営リスクの回避:
「15件」を「150件」と手入力してしまったら? 135件の不要な発注と在庫が発生し、経営に深刻なダメージを与えかねません。
「属人化」という時限爆弾:
「あのベテランのAさんがいるから大丈夫」という状態は、最も危険です。「商品名を省略されてもAさんなら分かる」という"阿吽の呼吸"は、その人が辞めた瞬間に破綻します。引き継ぎがうまくいかず、何を発注されているのかすら分からない、という事態は現実に起こり得ます。
受発注業務の効率化は、単なるコスト削減ではなく、売上を守り、ミスを防ぎ、事業を継続させるための重要な経営戦略なのです。
現場がどれだけ頑張っても非効率から抜け出せない根本原因は、主に3つのボトルネックに集約されます。

FAX、電話、メール本文、メールのPDF添付、Web上のEDI… 取引先の都合によって、注文の入り口が完全にバラバラになっています。
担当者は、まるでサポートセンターのように複数のチャネルを常に監視し、ケアし続けなければならず、これだけで膨大な工数がかかっています。
「この取引先は月末締めで、あの商品は必ずこっちの品番で入力する」といった暗黙のルールが蓄積し、特定の担当者しか処理できないブラックボックス状態になっているケースです。
その人がいないと業務が回らないため、休むことも難しく、退職と同時に業務が停止するリスクを常に抱えています。
最大のボトルネックがこれです。FAXやメールで来た注文情報を、販売管理システムや基幹システムに「目で見て、手で入力する」作業です。
データがシステムに入ってしまえば後は楽でも、その前段の「アナログ情報をデジタル情報に変換する」プロセスを、未だに「人」が担っているのです。
この課題は、特定の業界でより深刻化しています。
食品業界:
商品点数が圧倒的に多く、1枚の注文書に20品目が並ぶこともザラです。「10kgのパック」「500gのロット」といった単位の違い、商品ごとの納品日指定、賞味期限や温度帯の管理など、ミスが許されない複雑な転記作業が求められます。しかし、商品は低単価なものが多く、処理コストは極限まで抑えたいというジレンマがあります。
卸売業(全般):
卸売業は、メーカーとエンドユーザー(スーパーやコンビニ、地元のローカルなお店)の間に立つ存在です。取引先には、ECサイトからの注文に慣れていない「おじいちゃん、おばあちゃん」が経営する個人商店も多く含まれます。
彼らにとって、注文方法は昔から使い慣れたFAXや電話が最適解です。顧客である以上、「Webから注文してください」と強制することも難しく、結果として非効率なFAX受注が残り続けるのです。
このカオスな状況を解決するには、大きく分けて2つのアプローチがあります。どちらか一方ではなく、自社の状況に合わせて両方、あるいは段階的に導入することが成功の鍵です。
解決策①:現状のFAX・メール業務を「自動化」する(AI-OCR)
解決策②:「B2B受発注システム」を導入し業務全体を「一元化」する
これは、「取引先はFAXをやめてくれない」という悩みを抱える企業にとって、最も現実的かつ効果的な方法です。取引先に一切負担をかけず、自社内だけで完結するDXです。
▼ FAX受注の自動化 3ステップ
クラウドFAXの導入:
まずは物理的なFAX機をなくします。クラウドFAXを導入すれば、電話番号は変えずに、受信したFAXを自動でPDF化し、メールや特定のフォルダに転送できます。これだけで「紙で印刷し、スキャンする」手間がゼロになります。
AI-OCRの導入(手入力の排除):
次に、PDF化された注文書をAI-OCR(光学的文字認識)に読み込ませます。従来のOCRと違い、AI-OCRは手書き文字や、取引先ごとに異なるバラバラなフォーマットでも、商品名や数量を高い精度で読み取ります。
RPA / CSV連携(転記の排除):
OCRで読み取ったデータを、CSVファイルとして出力したり、RPA(ロボットによる業務自動化)を使って基幹システムに自動で入力したりします。
▼ メール受注の自動化
本文に記載されているパターン: 本文のテキストをAI(LLMなど)に解析させ、品番や数量を抽出します。
PDF添付パターン: FAXと同様に、添付されたPDFをAI-OCRで処理します。
これは、FAXや電話といったアナログ業務そのものをなくし、Web上の専用システムから注文してもらう、最も理想的で全体最適なアプローチです。
メリット:
受注ミスはゼロになり、手入力も不要です。さらに、在庫情報や納期をリアルタイムでシステムに連携させれば、顧客は自分で確認できるため、「在庫ある?」「納期は?」といった問い合わせ電話も激減します。
ハードル(罠):
最大のハードルは「取引先の協力が必須」な点です。「FAXや電話をやめて、Webから発注してください」と説得するコストがかかります。
現実的には、すべての取引先が移行してくれることは稀で、移行率は50%程度に留まるケースがほとんどです。結局、残りの50%のFAX・メール業務は残り続け、二重管理が発生する可能性もあります。
B2Bの受発注システムを選ぶ際、楽天やShopifyのようなB2C(一般消費者向け)のECシステムを選んではいけません。卸売業特有の複雑な商習慣に対応できず、必ず失敗します。
以下の「5つの専用機能」が必須です。
取引先ごとの「価格・掛け率」自動表示
A社にはこの価格、B社にはこの掛け率、と個別に設定・管理できる機能は必須です。
在庫・基幹システムとの連携
在庫管理システム(WMS)や基幹システムとAPIやCSVで柔軟に連携できるかを確認しましょう。
業界特有の仕様への対応
食品業界であれば「賞味期限」「ロット管理」「温度帯」など、業界特有の項目を管理できるカスタマイズ性が必要です。
FAX注文を取り込む「AI-OCR機能」
前述の通り、B2Bシステムを導入してもFAXがゼロになることはありません。システムに移行してくれない取引先のFAX注文を、システム内でAI-OCR処理できる機能があれば、受注窓口の一元化が可能です。
取引先の使いやすさ(特にスマホ対応)
PCを持たない小規模な店舗や、現場で発注する担当者のために、スマートフォンで簡単に発注できるシンプルなUI(ユーザーインターフェース)は非常に重要です。
この分岐点は、取引先の構成によって決まります。
AI-OCR(自動化)が向く企業:
取引先が数多く点在している(特に個人商店など)
FAX文化が根強く、Web化の説得が困難
B2Bシステム(一元化)を急ぐべき企業:
取引先が大手企業中心である
自社が取引の主導権を握っており、システム移行を依頼(強制)できる
しかし、最も重要なのは「FAX注文はなくならない」という現実です。
どの企業も、B2Bシステム導入を進めつつ、残ってしまうアナログ業務(FAX、メール)をAI-OCRで自動化する、「ハイブリッドな体制」を構築することが、最も現実的かつ効果的なのです。
B2Bシステムを導入しても残ってしまうFAX・メール受注の手入力、そしてそれに伴う転記ミスや属人化…。
こうした「アナログ業務の自動化」に特化したソリューションが、AI-OCR「AI受発注くん」です。
「AI受発注くん」は、取引先から送られてくるFAXやメールの注文書(PDF)をアップロードするだけで、AIが必要項目を自動で抽出し、お使いの販売管理システムに取り込めるCSV形式で出力するAIソリューションです。
▼ 卸売業の課題をピンポイントで解決
高精度な文字認識(手書きもOK)
かすれたFAXや、クセのある手書き文字も、95%以上の高精度で読み取ります。「人」が目で見て判断していた作業をAIが肩代わりします。
表記ゆれを自動で「正規化」
「Aさんがいないと分からない」属人化の最大の原因だった、取引先ごとの商品名の省略や旧品番といった「表記ゆれ」。AI受発注くんは、これらを自動で学習・正規化し、正しい商品マスターに紐付けます。
システム連携(転記作業ゼロへ)
抽出したデータは、お使いの販売管理システムや基幹システムのフォーマットに合わせて、CSVの列順を自由にカスタマイズして出力可能。RPAを使わずとも、転記作業そのものをなくします。
実際に導入した企業では、受注処理時間が90%削減され、転記ミスもゼロになったという事例(年間200万円のコスト削減効果)も出ています。
バックオフィス業務の効率化は、単なるコスト削減ではありません。
手入力や確認作業に追われていた担当者を解放し、データ分析や顧客対応といった、本来やるべき「売上を伸ばす」ための攻めの業務にリソースを集中させることこそが、本当の目的なのです。
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