「またこの量の納品書を手入力しないといけないのか…」経理や業務担当の方なら、月末や月初に山積みになった紙の納品書を前に、こうため息をついた経験が一度はあるのではないでしょうか。手作業でのデータ入力は、時間がかかるだけでなく、入力ミスや属人化といった課題もつきまといます。結論から言うと、その悩み、AI-OCRで解決できます。この記事では、なぜ今も紙の納品書が使われ続けるのかという背景から、紙の納品書を効率的にデータ化する具体的な方法、そしてAI-OCR導入のメリット・デメリットまでを、網羅的に解説します。なぜなくならない？いまだに「紙の納品書」が使われる理由そもそも、なぜこれほどデジタル化が叫ばれる中で、いまだに紙やFAXで納品書が送られてくるのでしょうか。それは、取引における力関係が大きく影響しています。一般的に、発注側（買い手）の立場が強いケースが多く、受注側（売り手）が「当社のシステムにログインして発注してください」といったB2B ECサイトのような仕組みを導入しても、発注側に「面倒だ」と思われれば、取引自体が敬遠されてしまう可能性があります。発注側としては、複数の取引先ごとに異なるシステムを使うよりも、昔から慣れ親しんだ「紙の帳票を作成してFAXや郵送で送る」という業務フローの方が楽なのです。このような商習慣がある限り、受注側は様々な形式で送られてくる納品書や注文書を受け取り、処理し続けなければなりません。これが、紙文化が根強く残る大きな理由です。紙の納品書をデータ化する3ステップ紙の納品書を手入力から解放するためのプロセスは、大きく3つのステップに分けられます。まずは「AI-OCR」を使う前段階から見ていきましょう。ステップ1：紙をスキャンして「画像データ」にするまずは物理的な紙を、PCで扱えるデジタルデータ（PDFや画像ファイル）に変換する必要があります。方法はいくつかあり、自社の環境に合わせて選ぶことができます。複合機・スキャナを利用する: 最も一般的な方法です。最近の複合機には、スキャンしたデータを直接メールで送信したり、指定のフォルダに保存したりする機能があります。ドキュメントスキャナを使えば、大量の書類を高速でデータ化できます。クラウドFAXを利用する: FAXで届く納品書が多い場合におすすめです。FAX番号を変える必要はありますが、受信したFAXを自動的にPDF化してくれるため、印刷する手間が省けます。スマートフォンで撮影する: 枚数が少ない場合や、外出先で受け取った場合などは、スマートフォンのカメラで撮影する方法も有効です。最近のOCRは、スマホで撮影した多少歪んだ画像でも高精度に読み取ることが可能です。ステップ2：AI-OCRで文字情報を「テキストデータ」に変換するここが業務効率化の要となるステップです。スキャンした画像データをAI-OCRツールに読み込ませることで、画像内の文字情報をテキストデータに変換します。そもそもAI-OCRとは？従来のOCRとの違い「OCR」という言葉自体は昔からありますが、従来のOCRと「AI-OCR」は全くの別物です。項目従来のOCRAI-OCR対応フォーマット固定フォーマットのみ様々なフォーマットに対応（非定型帳票）手書き文字の精度低い、または非対応高い（95%以上の精度も可能）事前設定の要否項目ごとに読み取り範囲の指定が必要原則不要読み取り精度低く、実用的でない場合も非常に高く、人の目視確認を大幅に削減従来のOCRは、あらかじめ「この四角の中が会社名」「この範囲が品番」といったように、帳票のフォーマットごとに細かく設定する必要がありました。そのため、取引先ごとにフォーマットが異なる納品書の処理には向いていなかったのです。一方、AI-OCRは、AIが書類の構造を自律的に理解し、「会社名」「品番」「金額」といった項目がどこに書かれているかを判断してくれます。これにより、フォーマットがバラバラな納品書でも、事前の設定なしで高精度なデータ化が可能になりました。ステップ3：テキストデータをシステムに投入するAI-OCRで抽出したテキストデータは、CSVなどの形式で出力できます。あとはそのデータを、自社の販売管理システムや会計システムにインポートするだけです。この「システムへの投入」部分を、RPA（Robotic Process Automation）と組み合わせることで、スキャンからシステム登録までを完全に自動化することも可能です。AI-OCR導入のメリットと注意点AI-OCRを導入することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。また、導入前に知っておくべき注意点も合わせて解説します。4つの大きなメリット圧倒的な工数削減と生産性向上: これまで何時間もかかっていた手入力作業が、数分で完了します。空いた時間を営業活動や顧客対応など、より付加価値の高いコア業務に充てることができます。転記ミスの撲滅: 「人がミスをする確率は0.1%（1000文字に1文字）」と言われます。AI-OCRの精度は、活字であれば99%以上。人間が手入力するよりもはるかにミスを減らすことができ、手戻りやダブルチェックの負担をなくします。属人化の解消: 「この納品書は、ベテランの〇〇さんじゃないと処理できない…」といった属人化を防ぎます。誰でも簡単な操作で同様の成果を出せるため、担当者の急な休みや退職にも慌てる必要がありません。ペーパーレス化の促進: データ化を前提とすることで、紙で保管していた納品書を電子データとして保存する流れが生まれます。保管スペースの削減や、検索性の向上にも繋がります。導入前の注意点精度は100%ではない: AI-OCRの精度は非常に高いですが、100%ではありません。特に、クセの強い手書き文字や、印字が著しくかすれている場合は誤認識することもあります。そのため、「AIが読み取った内容を、人が最終確認する」というフローは当面必要です。ただし、ゼロから入力するのに比べて、その確認作業は圧倒的に楽になります。導入・運用コストがかかる: 当然ながら、ツールの利用には月額費用などのコストが発生します。しかし、手入力にかけていた人件費や、ミスによって発生していた損失と比較すれば、多くの場合、コストを上回るメリットが得られます。煩雑なデータ入力を自動化するなら「AI受発注くん」ここまで解説してきた紙の納品書や注文書のデータ化。これを高いレベルで実現するのが、当社の提供する「AI受発注くん」です。「AI受発注くん」は、PDFをアップロードするだけで必要な項目を自動で抽出し、お使いの販売管理システムに取り込める形式で出力するAIソリューションです。＜AI受発注くんの特長＞高精度な読み取り技術: 活字はもちろん、クセのある手書き文字も95%以上の高精度で認識します。表記ゆれの自動正規化: 「(株)ＡＢＣ」と「ABC株式会社」のような表記の違いや、商品名の微妙な違いを自動でマスターデータに紐付け、統一します。柔軟なCSV出力: ご利用中の販売管理システムに合わせて、出力するCSVのフォーマットを自由にカスタマイズできます。実際に導入いただいたお客様の98%が効果を実感しており、「月間の処理時間が90%削減できた」「転記ミスがゼロになり、ダブルチェックが不要になった」といった嬉しいお声を多数いただいています。年間で200万円以上のコスト削減に成功した事例もございます。 「まずは話だけでも聞いてみたい」「自社の納品書で試せるか知りたい」という方は、ぜひお気軽に下記より資料をダウンロードしてください。＞＞資料請求はこちらまとめ今回は、多くの企業を悩ませる「紙の納品書」のデータ化について解説しました。紙の納品書は、発注側の業務フローが変わらない限りなくならない。紙は「スキャン→AI-OCR」の流れで簡単にデータ化できる。AI-OCRは、工数削減・ミス防止・属人化解消に絶大な効果を発揮する。AIによる完全自動化の世界はまだ少し先かもしれませんが、今すぐにでも手入力作業を8割、9割削減することは可能です。その第一歩として、AI-OCRの導入を検討してみてはいかがでしょうか。この記事が、あなたの会社の業務効率化のヒントになれば幸いです。