オフショア開発の品質は低いのか?プロ目線で辛口で解説!
- 「オフショア開発って品質的に大丈夫だろうか・・・」
- 「そもそもオフショア開発って何?」
という疑問をお持ちではありませんか?
そこでこの記事ではそんな「オフショア開発の品質について知りたい!」というお悩みを、2年間、開発会社を経営していた経験から説明します。
本記事では下記について記載していきます。
- オフショア開発とは何か
- オフショア開発の品質が低いと言われる理由
- 品質を向上させる方法
これら3つのポイントを各項目別に、原因、解決方法を詳しく解説していきます。
5分程度で読める記事ですので、是非読んでみてくださいね。
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オフショア開発とは
オフショア開発とは、海外の企業にITシステムの開発や運用などを委託することです。
オフショアとは海外への委託を指し、ビジネス用語として広く使われています。委託先は、主にアジア圏などの発展途上国が多いです。
近年、システム開発の分野においてオフショア開発を行っている企業が多数あります。
何故なら、日本国内の技術者に依頼するよりも海外のほうが人件費が安いというメリットがあるからです。
国内の現状として、IT人材の確保や育成コストが企業の懸念点でもあります。
この悩みを解決するために、海外の安くて有能な技術開発の人材を活用するオフショア開発が注目されているのです。
コストを抑えつつ、人材リソースを活用するのがオフショア開発の狙いとなります。
しかし、オフショア開発にはいくつかの問題点も垣間見えます。
実際に報告があった問題は、予想とかけ離れた品質の低い成果物が納品されることです。
なぜこのようなことが起こってしまうのか、成果物の品質が低くなる原因と問題点について次の項で詳しく掘り下げて解説します。
オフショア開発の品質が低いと言われる理由
オフショア開発で品質低下を起こす具体的な原因は、以下3つです。
- コミュニケーションのすれ違い
- 「よしな」に発注ができない
- デザインの感覚が日本と異なる
オフショア開発の品質が低いと言われることは、「日本と海外の違い」が起因しています。
国が違えば言葉も文化も違うので、現場ですれ違いが起きるのは仕方がないことです。
しかし、発注側と受注側のズレは、ポイントを抑えて工夫するだけで少なくできます。
これからオフショア開発を検討している方々のために、各原因の解決ポイントを具体的に見ていきましょう。
コミュニケーションのすれ違い
コミュニケーションのすれ違いは、言葉の壁だけが原因ではありません。
日本と海外では、言葉・文化・生活様式など様々なことが異なります。
つまり、オフショア開発では、発注先の国の文化などの理解も必要です。
日本の生活では一般的で当たり前のことでも、海外では全く馴染みのない未知の文化と捉えられる場合があります。
発注先側から日本を見た場合も同様です。
言葉さえ通じれば解決するという問題でもありません。
感覚や文化が日本人と異なることを前提として考え、どのようなものを作ってほしいのか正確に伝えることが必要です。
そのためには、受注先とのコミュニケーションを積極的に行い、距離感を縮めていくことも必要になります。
「よしな」に発注ができない
海外では、ニュアンスの受け取り方が日本人とは異なります。
そのため、オフショア開発では「よしな」に発注することは避けるべき行為です。
「よしな」とは、物事を適切(妥当)に進める意味合いの言葉です。ビジネスの場においても「いい具合に納めてほしい」などのニュアンスで使われていますが、海外ではそれが通用しないことが多々あります。
そのため、オフショア開発では数字や日時を指定し、指示は事細かに発注するのが無難です。
例えば、日本で「いい具合に」と注文したとします。
大半の人は「不自然ではない形」をイメージしますが、これはあくまで日本人の感覚です。
これが海外の場合だと「(悪い意味での)適当にいい具合」や「(日本人向きではない海外向けの)いい具合」になる可能性があります。
また、言葉を濁して伝えた場合は相手が言葉の意味を察してくれるとは限りません。
はっきりとYESかNOを求められる欧米と、表現を曖昧にしたがる日本の違いを考えるとイメージしやすいはずです。
オフショア開発では、こちらの意志や目的をハッキリと明確にしておくことを心がけましょう。
デザインの感覚が日本と異なる
海外と日本ではデザインの感覚が異なることも頭に入れておきましょう。
顕著な例で言えば、和服と洋服の違いです。
服装ひとつをとっても、色彩やパッと見のビジュアルで感性の違いを感じる人も多いと思います。
開発でも同じように、海外の人達とは成果物に対するデザインの印象が異なるケースがあります。
デザイン感覚には、生まれ育った国の歴史や慣習、生活様式なども関わっています。
日本人にとって馴染みのないデザインでも、海外の人達にとってはスタンダードだということもあるでしょう。
発注側が違和感を覚えない成果物に近づけるためには、明確かつ事細かにデザインを指示する必要があります。
オフショア開発で受入テストは意味がない?
オフショア開発でしばしばおこなわれる『受入テスト』は、重要な工程ですが意外に時間がかけられないことが多いです。
場合によっては、受入テストで課題を見つけても対処できないことがあるでしょう。
そもそも受入テストは、開発したシステムがニーズや要件、ビジネスプロセスに対して満足できる仕上がりかを確認する大切な工程です。
オフショア開発で、委託先がテストをおこなったとしても、本当に仕上がりが満足できるか知るためには『日本基準または自社基準』で調べなおす必要があります。
受入テストで見つかった課題やリスク、バグといった修正にかかる工数も出てくるでしょう。
細かくコミュニケーションを取ることになり、品質を担保するには相当の労力を必要とします。
そのため、できるだけ受入テストを『重要な機能を優先にする』といった対処が求められます。
さらに、オフショア開発の品質を基礎から向上させておくことで、リスクを低減することができるはずです。
では、どのように品質の向上を狙えばよいのか解説します。
オフショア開発の品質を向上させる方法
ここまで、オフショア開発の成果物の品質が低いと言われる原因を解説しました。
それぞれの解決策も解説したので、次は、成果物の品質を向上させる方法についてお伝えします。
- 日本人のブリッジSEをつけてもらう
- 仲良くなって心理的な距離を近くする
- 細かい仕様書を作成してすれ違いをなくす
ポイントさえ押さえれば、コストを抑えつつ良質な仕事を発注できるようになるので必見です。
日本人のブリッジSEをつけてもらう
オフショア開発では、文化や感覚の違いから「ずれ」が生じます。
「ずれ」を随時修正するためには、オフショア開発の発注先と海外の受注先の仲介となるブリッジSEを付けてもらいましょう。
ブリッジSEとは日本企業と海外企業の間で、全般的なマネジメントを行う人を指す言葉です。
ブリッジの名の通り、役割は両社の橋渡しとなる重要な役割があります。
海外への発注で課題となる言語などのコミュニケーションから、その国に対する文化や様式、感性の理解度、進行スケジュール管理など様々な仕事に携わります。
ブリッジSEをアサインすると、言葉の壁による意思疎通や文化の違いによる感覚のズレを即座に修正できるメリットがあります。
また、ブリッジSEは現地との時差や技術者のレベルの把握、進捗管理や運営・運用にも参加するため、円滑なコミュニケーションと仕事レベルの向上が見込めます。
仲良くなって心理的な距離を近くする
海外の技術者達と仲良くなることで、プロジェクトがスムーズに進みます。
オフショア開発に限らず、組織業務を円滑に進めるにはコミュニケーションが必要不可欠。
例えば、お互いに距離を縮めることで親しみが湧き、コミュニケーションが取りやすくなります。また、何かあった場合には相談を持ちかけられ、トラブルを未然に防げる機会も増えていくでしょう。
心理的な距離を近くするためは、自分から歩み寄って話しかけることが大切です。
細かい仕様書を作成してすれ違いをなくす
オフショア開発で品質を向上させるためには、あらかじめ数字や指示を具体的に記述した細かい仕様書を作成しましょう。
オフショア開発の依頼先とのすれ違いをなくすのがポイントです。
要望の記述がアバウトだと、オフショア先の技術者の感覚で進める部分が大きくなる可能性が高くなります。
すると、依頼側の意図するものとかけ離れた成果物が完成するでしょう。
例えば、「ここを〇cm」や「この表現は目につきやすいように〇〇の〇〇に表示する」など、具体的に指示する必要があります。
ただし、オフショア先によっては数字や指示を事細かく記述しても行間を読むことが苦手という国も存在します。
- 作成する仕様書のレギュレーションやガイドラインを統一する
- 正確に合わせてほしいポイントの数字や指示は事細かく設計する
- 仕様書の作成と合わせて設計の口頭確認を行う
仕様書のレギュレーションやガイドラインを統一し、正確に合わせてほしいポイントは事細かく記述した仕様書を作成し、口頭でも説明・確認しましょう。
仕様書の作成だけに留めず、発注先とのメールや口頭などでコミュニケーションを取り合ってすれ違いをなくす工夫が必要です。
オフショア開発の品質を保つために進め方を確認
オフショア開発の品質を向上させるために必要な事柄がわかれば、適切なタイミングでおこなっていくだけです。
たとえば、オフショア開発の代表的な進め方は以下のとおりです。
- 開発の目的を明確にする
- 要件定義をできるところまで自社でおこなう
- 数社見積もりをしてみる
- 契約内容を確認する
- 担当者と仕様書を作成し細かい部分を詰める
- 定例会を設けて進捗を確認する
- 担当者と動作確認をする
- システムをリリースする
※詳細な流れ・進め方について詳しくは「オフショア開発の進め方は?プロが徹底解説します!」を参考にしてください。
開発の目的をできるだけ明確にし、要件定義を細かく自社でおこなうことで品質の担保を目指せます。
見積もりから契約内容の確認で、コミュニケーションに違和感がない企業か調べる必要もあるでしょう。
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オフショア開発の品質に関する知っておきたい予備知識
最後に、オフショア開発の品質に関する知っておきたい予備知識を紹介します。
- オフショア開発の品質を評価するために必要な基準は?
- オフショア開発を管理するためには何をしたらよい?
- オフショア開発の課題やリスクは他にある?
それぞれ、知っておくと便利な知識ですので参考にしてください。
オフショア開発の品質を評価するために必要な基準は?
オフショア開発の品質を評価するためには、決定した要件定義や要求仕様書、機能仕様書といった資料を使います。
また、ブリッジSEが適切に要望を確認し、作成した資料があるなら確認しておくとよいでしょう。
そのほかにも、課題やリスクの観点から確認し、最低限の品質を保証できる項目をまとめておくとスムーズです。
もし、オフショア開発の品質チェックで不安があるなら、知見・実績のあるシステム開発企業を選ぶと、今までの経験に基づいてチェックリストを作成してもらえるといったサポートを受けられるはずです。
オフショア開発を管理するためには何をしたらよい?
オフショア開発を管理するためには、以下のような項目を意識することが大切です。
- 明確な目的
- 詳細まで作り込んだ仕様
- 合同レビューによるすり合わせ
- テスト計画やレビュー計画
- 定期的な進捗報告
- 経験豊富なブリッジSEの起用
オフショア開発を依頼する前から、細かく決めていくことで予想と大きく外れたシステムが開発されることを避けられます。
そして、定期的な進捗報告やテスト、レビューといったコミュニケーションによって管理していくことが望ましいです。
オフショア開発の課題やリスクは他にある?
オフショア開発の課題・リスクとしてよく挙げられるのが以下のような項目です。
- 文化の違い
- エンジニアの質・教育水準
- コミュニケーションの問題
- クオリティが担保できない問題
- 納期を守ってもらえない
- 各国の政治などの情勢
なかでも、文化の違いや政治などの情勢によって納期が守れない、連絡が取れないリスクはコントロールが難しい部分です。
クオリティ・品質を担保するためには、エンジニアの質や教育水準にも目を向けて、コストを俯瞰して全体感を捉える視野が求められるでしょう。
リスクや課題について詳しくは、以下の記事で対処法を含めて解説しているので参考にしてください。
まとめ:コミュニケーションですれ違いをなくせば品質が高まる
オフショア開発の品質について解説しました。
日本と海外では、言語・文化・生活様式の違いから考えのすれ違いが起きることも少なくありません。
そのため、ニュアンスの伝え方が難しく、発注側の意図に合わない成果物が上がってくる可能性もあります。
デザインにおける感性や感覚も異なるため、違和感がある仕上がりになることもあるでしょう。
このような開発の品質低下を避けるには、発注先の国の文化や様式を理解した上で、技術者達とコミュニケーションをとって距離を縮める必要があります。
発注先とのすれ違いをなくすことが品質向上のポイントですので、オフショア開発の際にはぜひ意識してみてくださいね。