システム基礎知識

パッケージとスクラッチの違いと選び方|自社固有の業務がどこまで及ぶかで決める

最終更新日:

2026.10.9

パッケージとスクラッチの違いと選び方|自社固有の業務がどこまで及ぶかで決める

業務システムをパッケージにするかスクラッチで作るかは、自社固有の業務がどこまで及ぶかで決めます。固有の業務が一部ならパッケージ、全体に及ぶならスクラッチです。その中間の選択肢が、テーマと成果物を決定してから開発を委託する方法です。

パッケージは、標準機能をそのまま使えば短い期間と低い費用で導入できます。作り込むほど費用と期間は増えます。スクラッチは業務に合わせて自由に作れる代わりに、費用も期間もかかる方式です。

パッケージ製品の利用では、製品が標準として提供する機能をできるだけそのまま利用することが望ましい。それによって、「既製品」を利用するメリットである、高品質・短期導入・低コストが実現できる。 参照:システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版(p.25)|IPA

既製品を残して一部だけ作る方法を含めた比べ方は、以下の記事で説明しています。

この記事では、パッケージとスクラッチのどちらで作るか、判断基準をお伝えします。

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パッケージかスクラッチかは、固有の業務の広さで決まる

パッケージかスクラッチかを決める物差しは、自社固有の業務がどこまで及ぶかです。固有の業務が一部ならパッケージ、全体に及ぶならスクラッチを選びます。物差しを当てる前に、その業務が本当に自社固有かを確かめます。

パッケージかスクラッチかを決めるとき、何を物差しにしますか。

岡田固有業務の広がりです。自社固有の業務が一部か全体かで決めます。

同業他社のやり方、設定で済む4項目、業務をパッケージに合わせられるかの順に確かめると、本当に自社固有の業務が残る
図1|方式を決める前に、自社固有の業務かどうかを確かめる順番

本当に自社固有の業務かの見分け方

ある業務が自社固有か、どの会社にもある業務かは、何を見れば見分けられますか。

岡田見るのは、ニッチな業界かどうかと、同業他社がその業務をどうやっているかの2点です。同業他社にヒアリングしてください。同業他社が多い業界なら、その業務もパッケージの設定で済む例が多くあります。

パッケージの設定で済むことが多い4つの業務

岡田固有に見えて実はパッケージの設定で済むことが多いのは、次の4つです。

  • 帳票の形
  • 承認の流れ
  • 掛け率や価格の計算
  • コードの体系

自社固有に見える業務がこの4つに当たるなら、アドオンを見積もる前に、設定画面で対応できるかを製品の試用で確かめてください。

固有の業務が多くてもパッケージで足りた4つの場合

固有の業務が多くてもパッケージで足りたのは、どんな場合ですか。

岡田パッケージで足りたのは、次の4つの場合です。

  • 業務をパッケージの型に合わせて変えられたとき
  • 固有に見えた部分が設定や標準機能で済んだとき
  • 本体はパッケージのまま、固有の部分だけ小さなツールやExcelで補ったとき
  • 固有の部分を担当者が手作業で処理しているとき

この4つのうち一番多いのは、業務をパッケージの型に合わせて変えられたケースです。

パッケージからスクラッチへ切り替える目安

固有の業務が一部なら、パッケージを入れたうえで、スクラッチへ切り替える時点を先に決めておきます。切り替える時点は、バージョンアップのたびにアドオンを直す費用が続くようになったときです。

再構築プロジェクトの企画・計画段階で製品の Fit&Gap 分析が十分に行われず、プロジェクト開始後になって想定以上にパッケージ製品の拡張が必要であることが分かり、計画時よりもコスト・スケジュールが膨らんでしまった事例は少なくない。 参照:システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版(p.25)|IPA

パッケージの3つの使い方と、切り替える時点

固有の業務が一部のとき、切り替える時点・手前に出る兆し・最初から避ける条件の3つの判断と、それぞれ見る点
図2|固有の業務が一部のときに、パッケージを続けるか切り替えるかを判断する3つの場面

IPAのユーザガイドによる、パッケージの使い方の分け方は次の3つです。

  1. 製品のパラメタ定義を設定する程度でそのまま使う形(タイプ①)
  2. 製品が提供する開発言語やAPIで自社独自の処理を作り込む形(タイプ②)
  3. 独自に開発した機能を外付けする形(タイプ③)

参照:システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版(p.27)|IPA

パッケージ製品提供の機能を用いた作り込み(タイプ②)やアドオン開発(タイプ③)は、その規模が膨大になると、開発コストやスケジュールが膨らみ、当該システムを作り直しすることと大差なくなってしまう。 参照:システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版(p.32)|IPA

IPAのユーザガイドは、維持保守の段階でOSやソフトウェア類のバージョンアップに対応する際に、アドオンも対応が必要になると述べています。作り込み量が多く複雑だと保守コストが増加する可能性があるとも述べています。 参照:システム再構築を成功に導くユーザガイド 第2版(p.32)|IPA

パッケージ導入後にカスタマイズ費が膨らんだ相談では、どの時点でスクラッチへの切り替えを勧めますか。

岡田パッケージのバージョンアップのたびにアドオンが動かなくなり、直す費用が続くようになったら、スクラッチへの切り替えを勧めます。

切り替えが近い3つの兆し

岡田兆しは次の3つです。

  1. パッケージの外で管理するExcelや手作業が増える
  2. 画面や帳票の小さな改修依頼が毎月のように続く
  3. 現場が標準の流れを使わず、旧いやり方に戻っている

一部でもパッケージを避ける3つの場合

固有の業務が一部でも、パッケージを避けた方がよいのはどんな場合ですか。

岡田一部でもパッケージを避けるのは、次の3つの場合です。

  1. その一部が、売上や粗利に直結する利益の源のとき
  2. 既存システムとの連携が多く、パッケージ側で合わせられないとき
  3. 利用者ごとの料金が重く、作った方が安くなるとき

パッケージよりスクラッチを選ぶ場合と、費用が膨らむ原因

固有の業務が全体に及ぶなら、スクラッチを選びます。費用が膨らみやすい工程は、開発中の仕様変更、テストと手戻り、データ移行です。テーマと成果物を先に決めると仕様変更とテスト・手戻りは減り、要件定義とデータ移行は減りません。

スクラッチの費用が膨らむ3つの工程

テーマと成果物を先に決めると、開発中の仕様変更とテスト・手戻りは減り、要件定義とデータ移行は減らない
図3|スクラッチの工程ごとに、テーマと成果物を先に決めたときに減るかどうか

スクラッチの費用は、どの工程で膨らみやすいですか。

岡田費用が膨らむのは、次の3つの工程です。

  1. 開発中の仕様変更
  2. テストと手戻り
  3. データ移行

特にデータ移行には時間がかかります。データの型の定義と、変換スクリプトの作成に大きな手間がかかるためです。

費用は、人月単価に工数を掛けて見積もります。JUASの調査では、パッケージ利用開発の外注単価がスクラッチ開発より高く出ています。

パッケージ利用開発は、パッケージ使用のスキル・ノウハウが必要とされるため、スクラッチ開発と比較して高単価となっていると考えられる。 参照:ソフトウェア・メトリクス調査2025 ガイドブック(p.22)|JUAS

JUASの調査では、工期は工数の立方根に係数3.23を掛けた値が標準で、125人月のプロジェクトなら全体工期は16.15か月です。 参照:ソフトウェア・メトリクス調査2025 ガイドブック(p.7)|JUAS

自社の見積もりの工期がこの計算から大きく外れるなら、どの工程が膨らんでいるかを確かめてください。

見積もりの金額の出し方と、依頼に必要な情報は、以下の記事で説明しています。

テーマと成果物を先に決めて、減る費用・減らない費用

スクラッチでもテーマと成果物を先に決めておくと、どの工程が減りますか。

岡田減るのは、開発中の仕様変更と、テストと手戻りです。要件定義とデータ移行は、先に決めても両方減りません。見積もりでは、要件定義とデータ移行を最初から金額に含めて比べてください。

全体に及んでも、スクラッチ以外で足りた3つの場合

固有の業務が全体に及んでも、スクラッチ以外で足りたのはどんな場合ですか。

岡田スクラッチ以外で足りたのは、次の3つの場合です。

  • その業界向けのパッケージがあったとき
  • ノーコード基盤で組んだとき
  • この機会に業務を大きく変えたとき

スクラッチを決める前に、自社の業界向けのパッケージがあるかを確かめてください。

パッケージとスクラッチの間にある、開発委託という選択肢

固有の業務が一部と全体の中間に当たるなら、テーマと成果物が先に決まった開発委託を選べます。テーマと成果物が先に決まった開発委託は、解きたい課題を1つに絞れる会社に向き、基幹システム全体を入れ替えたい会社には足りません。

弊社が得意な4つのテーマ

弊社では、次の4つのテーマで開発をお受けしています。

  • 集計業務とレポート化
    • 販売店ごとに書き方が違うExcelを1つの表にまとめ、翌月からは自動で集計
    • 会議で出た質問に、根拠の表つきでその場で回答
  • 新人育成
    • ベテランの接客をインタビューで聞き出し、マニュアルとレベル基準を作成
    • 接客中の疑問に、出典つきで回答
  • 顧客対応
    • メールやフォームで届いた問い合わせに、契約内容や社内規定と照らし合わせた返信の下書きを作成
    • 返信は自動で送るか、人が確認してから送るかを選択可能
  • 接客・営業の測定
    • 商談の録音を文字起こしし、支店・担当者ごとの数字に集計
    • 売れる担当者との差を、トークの段階ごとに比較

ご依頼から運用までは、次の順に進めます。

  1. 初回相談・範囲提案
  2. 定義・設計
  3. 構築
  4. 照合・利用確認
  5. 運用・拡張

期間の目安は、試しに作って効果を確かめる段階で1〜2か月です。数字をダッシュボードに表示するだけの開発なら、2〜3か月です。ご依頼の内容によっては対応が難しい場合もあるため、詳細はご相談ください。

業務課題についてNOVELに相談する

開発委託で足りる会社

テーマと成果物が先に決まった開発委託で足りるのは、どんな会社ですか。

岡田解きたい課題が1つに絞れていて、テーマと一致している会社です。全体を決める前に、まず小さく試して効果を確かめたい会社にも向いています。

範囲外の要望が出たときは、どう扱いますか。

岡田小さければ範囲の中で対応します。目安は、数時間で済むものです。

開発委託では足りない会社

テーマと成果物が先に決まった開発委託では足りないのは、どんな会社ですか。

岡田基幹システム全体を入れ替えたい会社です。テーマが1つに収まりません。基幹システム全体を入れ替える場合は、スクラッチを選び、開発中の仕様変更、テストと手戻り、データ移行の費用を先に押さえてください。

まとめ|固有の業務の広さを確かめてから選ぶ

方式を決める前に、自社固有に見える業務を次の表で確かめてください。

確かめること当てはまるなら
同業他社が多い業界の業務かパッケージの設定で済む例が多い
固有に見える部分は、帳票の形・承認の流れ・掛け率や価格の計算・コードの体系かパッケージの設定で済むことが多い
業務をパッケージの型に合わせて変えられるか固有の業務が多くてもパッケージ
利益の源になる固有の部分、既存システムとの連携の多さ、利用者ごとの料金の重さ一部でもパッケージを避ける
業界向けパッケージの有無、ノーコード基盤での構築可否、業務を大きく変える機会の有無全体に及んでもスクラッチ以外で足りる
解きたい課題が1つに絞れているか、まず小さく試したいかテーマと成果物が先に決まった開発委託
基幹システム全体を入れ替えたいかスクラッチ

表で方式が決まったら、社内には固有の業務の範囲と当てはまった条件を示してください。

業務に合わせたシステム開発

固有の業務か決めきれていなくてもご相談ください

初回MTG:いまの業務を見て、パッケージで足りる範囲を一緒に分けます。
2回目MTG:固有の部分を御社のデータで試作し、無料でお見せします。

パッケージで足りる範囲の切り分け
御社のデータで作る固有部分の試作
事前準備はいまの業務の説明のみ

データの事前提出は不要です

取材回答/監修
岡田 徹NOVEL株式会社 代表取締役

エンジニア出身。大阪大学在学中から複数のプロダクトを立ち上げ、2019年にNOVEL株式会社を設立。上場企業を含む60件以上のAI導入・システム開発を支援し、見積もりと要件定義は自ら担当する。著書『2冊目に学ぶ ChatGPTプロンプト攻略術』(C&R研究所、2024年)。

公開 2026.10.9|最終更新 2026.10.9

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