システム基礎知識

エクセル管理をやめたいときの打ち手|続けるべきか?システムへ移行するべきか?

最終更新日:

2026.10.8

エクセル管理をやめたいときの打ち手|続けるべきか?システムへ移行するべきか?

Excelでの管理をやめたいという相談の中身は、人によって違います。

  • 最新版のファイルが分からない
  • 毎月の集計に何日もかかる
  • マクロを作った人が異動して誰も直せない など

打ち手は業務の削減からシステムへの移行まで幅があり、解決できる範囲は打ち手ごとに違います。

この記事では、エクセル管理をやめたいときに、自社の困りごとに合う打ち手を選ぶ判断基準を説明します。

AIで要約・質問をする

ご利用中のAIで記事の要約を作成。その後、記事とサイトの内容をもとに、あなたのご質問に回答します。

エクセル管理をやめたいときの5つの打ち手

Excelでの管理をやめたいときの打ち手は、次の表の5つです。選ぶ前に、何のために集計しているかを確かめてください。

打ち手向いている状態
業務の削減誰も見ていない表、他のシステムで同じ数字が取れる表
運用の手直しとExcelの継続正本が1つ、更新する人が決まっている、作った人以外も数式を直せる
置き場所だけの移行Excelで続けたいが、最新版の確認と同時編集で困っている
システムへの移行同時更新、変更の記録、社外に出る間違い、他システムとの毎日の連携、権限の区別
既製のクラウドツールへの移行表の置き換えで終わらせず、業務ごとまとめてクラウドツールへ移せる

Excelでの管理をやめたいとき、打ち手は何がありますか。

岡田Excelのまま続ける、データの置き場所ごとシステムへ移す、のほかに、次の打ち手もあります。

  • 業務自体を減らす
  • 置き場所だけスプレッドシートなどへ移す

手法によって、どこまで解決できるかはバラバラです。

打ち手を選ぶ前に確かめる2つのこと

Excelをやめるか続けるかを決める前に、確かめておくことはありますか。

岡田集計の使い道です。その数字を、誰が何の判断に使うのかを確かめます。もう1つは、誰が決めて、誰が守るかです。決める人と、移した後に仕組みを維持する人。この2人を先に決めておきます。

移す時期は、最初に決めなくても構いません。テストの期間もあり、いつ完成するかは分からないので、仕組みができてから移行のスケジュールを決めればよいと思います。

「集計が重い」の裏にある4つの困りごと

「集計が重い」という申告の裏には、入力のばらつき・置き場所・不要な集計・大量の入力ファイルがある
図1|申告された困りごとと本当の困りごと

岡田本人が言う困りごとをそのまま信じると、打ち手を間違えることがあります。「集計が重い」と言っていても、実際は次のどれかの場合があります。

  • 入力がバラバラ:日付が「10/8」「10月8日」と人によって違い、集計の前に毎回そろえ直している
  • 置き場所の問題:「売上管理_最新版_田中修正.xlsx」のようなコピーが共有フォルダやメールに散らばり、どれを集計するか探している
  • 集計自体が不要:毎月作っている集計表を、会議で誰も見ていない
  • 入力するファイルが大量:支店や担当者ごとに届く数十個のファイルを開いて、コピー&ペーストで1枚にまとめている

エクセル管理をやめたいとき、移す前に減らせる4つの表

誰も見ていない表なら、移す前に管理そのものをやめられます。

Excelの管理を、仕組みに置き換えずに減らせるのはどんなときですか。

岡田業務自体を減らせるのは、次の4つのときです。

  • 誰も見ていない表
  • 基幹システムなど、他で同じ数字が取れる表
  • 入力項目が細かすぎて、一部しか使っていない表
  • 管理を始めた目的がもう無い表

エクセル管理をやめたい場合も、続けてよい3つの条件

正本が1つ・更新する人が決まっている・作った人以外も数式を直せる・量が少ないならExcelを続け、そうでなければデータベースへ移す
図2|Excelを続ける状態と移す状態

Excelでの管理を続けてよいかは、正本のファイル・更新する人・数式を直せる人の3点で決まります。

岡田次の3つがそろうなら、続けてよいと考えています。

  • 正本のファイルが1つ
  • 更新する人が決まっている
  • 作った人以外も数式を直せる

Excelで続けられるのは、量が少ない簡単な業務までです。量がとても多いなら、3つがそろっていてもデータベースへ移した方がよいと思います。

続けるなら先に直す4つの運用

  • 置き場所の一本化:正本だけを置き、コピーを作らない
  • 入力欄の固定:入力規則やプルダウンで形をそろえる
  • 入力シートと計算シートの分離:入力と計算を別のシートに分ける
  • 作りの記録:数式や列の意味をメモに残す

続ける場合、先に直しておく運用はありますか。

岡田先にやるのは、次の4つです。

  • 置き場所の一本化:正本だけを置き、コピーを作らない
  • 入力欄の固定:入力規則やプルダウンで形をそろえる
  • 入力シートと計算シートの分離
  • 作りの記録:数式や列の意味をメモに残す

置き場所だけの移行

置き場所をスプレッドシートやkintoneへ移すのも、Excelでの管理を続ける打ち手の範囲です。スプレッドシートへ移して解決するのは、最新版が分からない、同時に編集できないといった同期の問題に限られます。

岡田スプレッドシートやkintoneは、続ける場合の置き場所として使うと良いと思います。スプレッドシートにすれば解決できることもありますが、それは同期のような問題だけです。

マクロの更新が止まったときの決め方

VBAを直して業務を止めず、直した時点でシステム化を計画し、最終的にシステムへ移す
図3|マクロの更新が止まったときの進め方

まずマクロを直して業務を止めず、直した時点でシステム化を計画します。

マクロやVBAを作った人が異動・退職して更新が止まったら、どうしますか。

岡田一旦VBAを直します。VBAはよく壊れるので、最終的には集計の仕組みをシステム化しないといけません。システム化の計画は、直した時点で最初から立てておくものです。小さいマクロなら、直して使い続けてよい場合もあります。

VBAマクロの扱いは、Office側の仕様変更でも変わります。

Microsoftは、インターネットから取得したファイルに含まれるVBAマクロを、Officeの標準の動作でブロックするように変更しました。 参照:インターネットからのマクロは、Office で既定でブロックされます|Microsoft Learn

エクセル管理をやめたいときにシステムへ移す5つの決め手

同時更新・変更の記録・社外に出る間違い・他システムとの毎日の連携・権限の区別のどれかに当たれば移す
図4|システムへ移す5つの決め手

次の岡田の回答にある決め手のどれかに当たれば、データの置き場所ごとシステムへ移します。

公開されている解説記事には、データ行数5,000行超や同時編集者3人以上を、システム移行を検討する目安に挙げるものがあります。 参照:Excelでの管理、いつ卒業すべき?システム移行の判断基準5つ|SalesDock ブログ

データの置き場所ごとシステムへ移すのは、どんなときですか。

岡田移すのは、次の5つのどれかに当たるときです。

  • 同じ表を複数人が同時に更新する
  • 誰がいつ変えたかの記録が要る
  • 請求や出荷、顧客対応に響くなど、間違いが外に出る
  • 基幹や会計など他のシステムと毎日データをやり取りする
  • 人によって見られる範囲や変えられる範囲を分けたい

同時に複数人が更新していても、更新が1日数回までなら移さなくてよいと思います。

既製のクラウドツールへ移すのは、どんな状態のときですか。

岡田Excelだけをやめるのは難しいです。Excelは基本的にローカルで動いていて、他との連携があまりありません。移すなら、業務ごと全部クラウドツールへ移行する形になると思います。

相談から利用開始までの進め方は、以下の記事で説明しています。

まとめ|自社の困りごとを打ち手に当てはめる

Excelでの管理をやめる前に、次の順で確かめてください。

  1. 集計した数字を誰が何の判断に使うか、誰が決めて移した後に誰が守るか
  2. 申告された困りごとの裏に、入力のばらつき・置き場所・不要な集計・大量の入力ファイルがないか
  3. 誰も見ていない表や、他のシステムで同じ数字が取れる表がないか
  4. 正本が1つ・更新者が決まっている・作った人以外も数式を直せる、の3つがそろうか

4の3条件がそろえば、運用を直してExcelを続けます。そろわなければ、同時更新・変更の記録・社外に出る間違い・他システムとの毎日の連携・権限の区別のどれに当たるかを確かめ、システムへの移行を検討してください。

取材回答/監修
岡田 徹NOVEL株式会社 代表取締役

エンジニア出身。大阪大学在学中から複数のプロダクトを立ち上げ、2019年にNOVEL株式会社を設立。上場企業を含む60件以上のAI導入・システム開発を支援し、見積もりと要件定義は自ら担当する。著書『2冊目に学ぶ ChatGPTプロンプト攻略術』(C&R研究所、2024年)。

公開 2026.10.8|最終更新 2026.10.8

この記事に関連するお役立ち資料を無料ダウンロード

AIを活用した業務自動化 事例BOOK

AI技術を活用した社内業務効率化の基本から、実際の導入ステップまでをわかりやすく解説しています。

下記フォームにご記入下さい。(30秒)

氏名

*

貴社名

*

ご役職名

メールアドレス(企業ドメイン)

*

具体的なお悩みがあればご記入ください

テックユニットは、下記のような方におすすめできるサービスです。
お気軽にご相談ください。

・開発リソースの確保に困っている方
・企業の新規事業ご担当者様
・保守運用を移管したい方
・開発の引き継ぎを依頼したい方

おすすめの記事

関連する記事はこちら

費用対効果が期待できるAI導入支援とは

生成AIを導入し、研修も終えた。次に経営層から問われるのは、かけた費用に見合う効果が出ているかです。

PoC開発でよくある3つの失敗と、未然に防ぐ発注のコツ

AIで必要な精度が出るか分からず、まず試作から始めたい。そんなときのPoC開発は、本番の開発へ進む判断に必要なことを確かめる工程です。

AIシステム開発はどこまで頼む?予算超過を防ぐ、作らない範囲・試作・本番の分け方

問い合わせへの返信や社内文書の検索にAIを使いたくても、開発会社にどこまで頼むかは迷うところです。

経営管理システムとは?既製品か、開発か、判断の基準

Excelでの集計に時間がかかり、経営管理システムの導入を考え始めたら、まず自社で必要な集計単位と計算ルールを整理してください。

フルスクラッチ開発とは?既製品・一部開発・全体開発を選ぶ条件

フルスクラッチ開発を検討するときは、既製品で業務を行えるか、足りない処理だけ作れるかを先に確かめます。不足しているのが粗利表の集計だけなら、販売管理まで作り直さずに、集計の部分だけを作る方法があります。

システム開発の見積もり|依頼に必要な情報・金額の算定方法・回答までの日数

システム開発の見積もりを弊社にご依頼いただく際は、入力するデータと、システムから得たい出力を用意してください。処理する件数、連携先、追加で求める機能も、金額を決める材料になります。金額は、フルスクラッチなら作業ごとの人月×単価、パッケージ導入なら基本料金に機能・画面・連携の費用を加えて算定します。日数の目安は、初…

システム開発依頼の流れ|相談前の準備から利用開始・保守まで

システム開発を依頼する前に、何に困っていて、どの業務をどう変えたいかを整理してください。

この記事の監修者
岡田 徹
NOVEL株式会社 代表取締役

エンジニア出身。大阪大学在学中から複数のプロダクトを立ち上げ、2019年にNOVEL株式会社を設立。上場企業を含む60件以上のAI導入・システム開発を支援し、見積もりと要件定義は自ら担当する。著書『2冊目に学ぶ ChatGPTプロンプト攻略術』(C&R研究所、2024年)。