システム基礎知識

予算管理システムの選び方|Excelを残す範囲と導入の判断基準

最終更新日:

2026.11.4

予算管理システムの選び方|Excelを残す範囲と導入の判断基準

予算管理システムを選ぶ基準は、予算の取りまとめ・修正・予実比較・原因調査のうち、どの作業に手間がかかっているかです。

作業ごとにExcelを残すか移すかの条件と、導入候補を自社の予算表で試す方法が分かります。この記事では、予算管理をシステム化する範囲の決め方を説明します。

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予算管理システムを選ぶ前に4つの作業を確認する

予算管理の作業を次の4つに分けて、確認する対象を具体的にしてください。

どこに手間がかかっているかを把握したうえで、システム化する範囲を決めます。

作業現在の予算表で確かめること
部門の予算の取りまとめ入力書式のそろい具合と、提出・更新する人
差し戻し後の修正や試算正しいファイルの見分け方と、変更した人や内容の追跡の可否
予算と実績の比較・分析経営会議で必要な集計単位と項目の出力の可否
数字が合わない原因の調査参照元の表と、予算と実績の対応の確認の可否

取りまとめに時間がかかるときは、入力のばらつきやファイルの置き場所まで確認します。経営会議で予算の集計を何の判断に使うのか、経営者にも聞いてください。

予算管理のどの作業に手間がかかっているか、どう確かめますか。

岡田「集計が重い」と聞いても、実際は入力がばらばらだったり、置き場所が問題だったりします。そもそも集計自体が要らない場合もあるので、何のために集計しているのかを聞きます。

岡田大手企業で経営企画をしている知人は、部署ごとのスプレッドシートが50〜100個つながり、経営企画に届くまでに数字がずれていました。月の約半分を、ずれの原因探しに使っていたと聞いています。

予算管理システムで取りまとめの手間を減らす

書式と入力に困っていなければExcel入力を残し、同時編集や変更の記録が要るなら入力ごとシステムへ移す
図1|部門の入力をExcelに残すか、システムへ移すかの判断

取りまとめの手間を減らす方法には、部門の入力をExcelに残して集計だけを自動化するか、入力ごとシステムへ移すかがあります。どちらにするかは、書式や更新方法で判断します。

差し戻しが続く場合も、集計の自動化で対応できる範囲を先に確かめましょう。

Excel入力を残せる4つの条件

部門がExcelで入力し、集計だけを自動化できるのは、どんな状態ですか。

岡田次の条件がそろっていれば、入力はExcelのまま残して集計だけを自動化する手があります。

  • 書式がそろい、同じテンプレートの列が同じ意味になっている
  • 部門での入力には困っていない
  • 集計にかかる時間が大きい
  • 入力する人や現場のやり方を変えられない

Excel入力を残せるかは、書式を固定できるかでも変わります。同じ行を複数人が編集するか、入力の量と頻度はどれくらいかも確認してください。

岡田列の並びや商品名の書き方が違うExcelを、そのまま取り込むのは基本的に難しい作業です。形式をそろえる処理と、同じ商品を同じものとして扱う名寄せが必要になります。

部門の入力はExcelのまま、届いたファイルを1つの集計にそろえる方法は、Hyperboardのページで紹介しています。

入力をシステムへ移す4つの条件

入力ごとシステムへ移したほうがよいのは、どんなときですか。

岡田データの置き場所ごとシステムへ移すのは、次のようなときです。

  • 同じ表を複数人が同時に直す
  • 誰がいつ変えたかの記録が要る
  • 他のシステムと毎日データをやり取りする
  • 人によって見られる範囲を分けたい

複数人が直していても、更新頻度が少なければExcelのままでよいと考えます。入力画面を用意しても部門が使わず、Excelで作ってから打ち直す状態では、集める手間が残ります。

予算管理システムで修正と試算を管理する

正本が1つでコピーを作らない運用ならExcelで続けられ、試算のコピーが増えるならシステムでの版と承認の管理を検討する
図2|予算の修正と試算の管理で比べる観点

正本のファイルが1つに決まり、更新する人も決まっていれば、予算の修正はExcelで続けられます。試算用のコピーが増えている場合は、条件別の予算をシステム内で管理できるかを検討します。

Excelを続けられる3つの条件

予算を何度も作り直しても、Excelで続けてよいのはどんな会社ですか。

岡田次の条件を満たすなら、Excelのままでよいと考えます。

  • 正本のファイルが1つに決まっている
  • 更新する人が決まっている
  • 作った人以外も数式を直せる

続ける場合の運用は、次の4つです。

  • 正本を置く場所を1つにし、コピーを作らない運用
  • 入力欄の形の固定
  • 入力と計算のシートの分離
  • 数式や列の意味の文書化

Microsoftは、Excelの「変更の表示」でセルの値や数式の変更を追跡できると説明しています。追跡には、編集者全員が共同編集に対応したExcelを使う必要があります。ピボットテーブルの操作や書式の変更などは表示対象外です。 参照:Excelで変更を表示してヘルプを取得する|Microsoft

履歴が必要な会社は、現在使っているExcelで、残したい変更を追えるか試してください。

試算が増えたら、修正予算と承認の管理を確かめる

岡田売上が下がった場合などの試算を作るたびに、予算のファイルをコピーして増やしていく状態は、Excelから移すことを検討する理由になります。

たとえばOracleのPlanningでは、シナリオ・バージョン・部門などの組み合わせを単位として、計画データの確認や承認を管理します。予算の進行状況やレビュー担当者のコメントも確認できます。 参照:Planningでの承認の設定|Oracle

候補製品で当初予算と修正予算を分けて管理できるか、自社の承認手順に対応しているかを試してください。Excelに似た画面かどうかに加え、予算の修正と承認を管理できるかを評価してください。

予算管理システムの分析を会議の資料で試す

項目が変わらなければ標準の集計表で足り、データの追加や売上の数え方の変更は分析の仕組みを作り直す対象になる
図3|会議で求められる数字と、分析機能の判断

分析機能は、経営会議で使う表を実際に作って確かめます。部門別の集計ができても、必要な得意先別・案件別の数字を出せなければ、会議の資料には使えません。

毎月見る項目が変わるかを確認する

決まった集計表で足りる会社と、足りない会社はどう違いますか。

岡田毎月見る表が少なく、項目が変わらない会社は、標準の集計表で足ります。表が2枚だけで足りた会社もあります。

会議のたびに見たい切り口が変わると、決まった集計表では追いつきません。分析ツールを毎月運用する人が社内にいない場合も、対応できなくなります。

岡田案件別の粗利を見たいのに、部門別の集計しかできない製品では合いません。自社のCSVやExcelを取り込んで試すのがよいと考えます。

標準機能や設定で必要な集計を再現できるかを確かめる方法は、以下の記事で説明しています。

データの追加と集計方法の変更を分ける

会議で資料の変更を頼まれたときは、今あるデータの見せ方を変えるのか、新しい元データや計算が要るのかを分けて伝えてください。

岡田いま取り込んでいない在庫や勤怠のデータを足す場合は、分析の仕組みを作り直す対象になります。売上の数え方そのものを変える場合も、作り直しの対象です。売上・広告・在庫など、データの出どころが多い会社も、既製ツールだけでは間に合わなくなることがあります。

社内に散らばった顧客データを1か所に集め、全社で見られる仕組みを作った事例は、以下で紹介しています。

たとえば、会議で得意先別の粗利を求められるなら、得意先ごとの売上と原価を使えるかを試します。資料の見た目だけを確認するデモでは、必要な集計ができるか判断できません。

分析の仕組みづくりを外に頼む場合の費用と進め方は、以下の記事で説明しています。

予算管理システムで比較する数字をそろえる

見たい数字を決め、比較の対応と準備物をそろえ、データの出力方法を確かめてから接続テストをする
図4|予算と実績をつなぐ前の準備の順番

予算と実績を比べる前に、実績と比べる予算の版、予算を持つ単位、対応させる実績の数字を決めます。システム同士を接続する場合は、予算のファイルを読める権限と、取り込み後の管理担当も確認してください。

予算と実績をつなぐ前に3項目を決める

予算のデータを実績とつなぐ前に、何を決めておく必要がありますか。

岡田まず、経営会議でどの数字を見たいかを決めます。予算を扱うなら、比較する数字の対応を先に決めておきます。

  • 実績と比べる予算の版(当初予算・修正予算・毎月の見込みのどれか)
  • 予算を持つ単位(部門別・得意先別のどちらか)
  • 予算と対応させる実績の数字

準備するのは、次の3つです。

  • 予算の各ファイルの見本
  • 商品・得意先・部門のマスタ
  • 取り込みたい項目の一覧

岡田実績の列に予算の値が残り、利益を実態より高く出していたことがありました。

取り込み方法と共有権限を確かめる

岡田会計や販売のデータを、定期的に出せるか確かめます。CSVやAPIなどでデータを出せれば、連携を検討できます。手でCSVを出すしかない場合は、人の作業かRPAが必要です。

予算のファイルが共有されておらず、経理の仕組みから読み込めなかった例もあります。仕組みを決める人と、導入後に維持する人も先に決めておきましょう。

接続テストでは、導入後に使うアカウントで予算のファイルを読めるか確かめます。そのうえで、選んだ予算と実績が、意図した組み合わせで表示されるかを確認してください。

まとめ|現在の予算表で必要な機能を確かめる

導入候補を試す前に、経営会議で求められる数字を確認し、現在の予算表と実績のCSVを用意してください。部門から提出された予算を修正し、会議用の表を作るまでを試します。試した結果から、Excelを残す作業と、システムに任せたい作業を具体的に説明できます。

予算と実績をつなぐ検討では、比較する予算の版と集計単位も決めておきましょう。弊社へのご相談は、お問い合わせからお寄せください。

予算管理のご相談

Excelを残すか移すか決めきれなくてもご相談ください

初回MTG:Excelに残す作業とシステムに任せる作業を一緒に分けます
2回目MTG:御社の予算表で作った集計の試作を無料でお見せします

いまの予算表の使い方の聞き取り
Excelに残す範囲の切り分け
御社の予算表で作る集計の試作

データの事前提出は不要です

取材回答/監修
岡田 徹NOVEL株式会社 代表取締役

エンジニア出身。大阪大学在学中から複数のプロダクトを立ち上げ、2019年にNOVEL株式会社を設立。上場企業を含む60件以上のAI導入・システム開発を支援し、見積もりと要件定義は自ら担当する。著書『2冊目に学ぶ ChatGPTプロンプト攻略術』(C&R研究所、2024年)。

編集
NOVEL編集部NOVEL株式会社

社内のエンジニアや代表への取材と、お客様の導入支援の記録をもとに記事を作っています。NOVELは上場企業を含む60社以上のAI導入・システム開発を支援し、商談解析AI「DOKO」などの自社製品も開発しています。

公開 2026.11.4|最終更新 2026.11.4

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生成AI・AIエージェント・業務システム導入・開発伴走支援|AI導入の支援実績 60社以上/上場企業から中堅企業まで|2019年設立