営業の生産性を上げるには、担当者ごとの成約率を比べ、成約率の低い人がつまずいている場面を絞って指導します。成約率の低い営業が困りごとを聞く場面で話を進められていなくても、所長が商談の会話を見なければ、同行やロープレでどの場面を練習させるか決められないためです。
担当者ごとの成約率は、2回目の訪問の数え方と商談のフェーズをそろえてから比べます。
この記事では、訪問営業の所長が成約率から営業生産性の改善を進める方法を説明します。
記事の要点(図解1分)
計算例:営業10名・1人月20件の商談・平均の成約率30%の場合です。
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営業の生産性は、1人あたりの商談数と成約率に分けて考えます。同じ人数で成約件数を増やすなら、商談を追加する場合と成約率を上げる場合で、増える件数とかかる時間を比べてください。
考える順番は、次のとおりです。
日本生産性本部は、労働生産性を労働者1人あたり、または労働1時間あたりの成果を示す指標と説明しています。 参照:生産性とは|日本生産性本部
営業所で改善を始めるときは、1人あたりの成約件数を使い、商談数と成約率に分けて考えてください。
1人あたりの成約件数=1人あたりの商談数×成約率
たとえば月20件の商談があり、成約率が30%なら、成約は月6件です。残業を増やして成約件数を維持している場合、1時間あたりの成果は下がります。労働時間と契約単価の確認も必要です。
営業10名が、それぞれ月20件の商談をする会社で計算してみましょう。成約率の低い3名は20%、営業所全体の平均は30%で、ほかの条件は変わらないものとします。
| 施策 | 増える成約件数の計算 | 月の増加件数 |
|---|---|---|
| 3名の成約率を20%から30%へ改善 | 3名×20件×(30%−20%) | 6件 |
| 全員の商談を月2件ずつ追加 | 10名×2件×30% | 6件 |
どちらの方法でも、増える成約は月6件で同じです。差が出るのは、そのためにかかる時間です。商談を増やす方法では、アポ取りと訪問が月20件分増えます。成約率を上げる方法では商談数は変わらず、かかるのは3名を指導する時間です。月20件分の訪問と3名への指導の、どちらが短い時間で済むかでテコ入れの方向性が決まります。
岡田場数と商談の中身は両方必要です。成約率が実際に上がった商談のデータを溜めていければ、エース以外のメンバーの提案力の底上げを図れます。
担当者を比べる前に、商談1件の数え方と商談のフェーズをそろえます。再訪問を別の商談として数える会社と、お客様ごとに1件と数える会社では、成約率の意味が違うためです。
次の2つの条件をそろえてください。

同じお客様に2回訪問する場合、商談回数は2回、お客様の数は1人です。1人のお客様から1件成約しても、商談回数で割れば50%、お客様の数で割れば100%になります。
2回訪問するのが普通の会社では、成約率をどう見ますか?
岡田DOKOでは、5分以上の録音1本を商談1件と数えます。同じお客様への2回目の訪問も1件で、「2回目」の印が付きます。2回訪問するのが普通の会社で見るのは、お客様の数で割った成約率です。
月ごとの集計では、前月に始まった商談の成約と、当月の新規商談が混ざることもあります。成約率を比較するときは、集計期間と対象の商談をそろえてください。

岡田支店ごとにトークスクリプトがばらばらなら、先にフェーズをそろえます。フェーズが無いと比べようがありません。
商談の件数をフェーズごとに集計するときは、途中を飛ばした商談にも注意が必要です。
岡田DOKOのフェーズごとの件数は、そのフェーズを満たした商談の数です。飛ばしたフェーズは数えていません。
仮に点検をした10件のうち6件が見積へ進んだとします。別のお客様4件は、点検を飛ばして見積へ進んだ例です。見積10件を点検10件で割ると100%ですが、点検から見積へ進んだ割合は6件÷10件の60%です。同じ商談群の中での進み方を比べる必要があります。

指導は、成約率の低い担当者の商談から、直す場面を絞って進めます。指導後は、会話の変化と成約件数の両方を追ってください。
成約件数が増えても、1件ごとの商談時間が延びれば、こなせる商談の数が減る点に注意してください。
すべての商談を見る時間はないので、まず指導する人と場面を選びます。差が出る場面は、商材や営業によって変わります。成約した商談と、しなかった商談を、トークスクリプトの場面ごとに聴き比べて探してください。
岡田全部は見られないときは、成約率の低い人の商談や、失注した商談から見ます。
成約率20%の担当者が30%になれば、月20件の商談で成約が2件増える計算です。増やしたい件数を担当者ごとに決め、同行で確かめる場面を選びます。
困りごとを聞く場面に問題があると分かったら、何をしますか?
岡田成約率の低い人の商談に同行して、困りごとを聞く場面だけを見ます。ロープレでも、その場面だけを練習します。逆に、成約率の高い人の商談に同行させて、聞き方を見せるのも一つの手です。
練習した後は、教えたことを現場で使っているかを確かめてください。本人が使わず、管理者も商談を見ていなければ、すぐ元に戻ります。
会話が変わったのに成約率が変わらないなら、失注の原因は別の場面にあったということです。見る場面を選び直してください。
指導後に記録するのは、成約件数・商談時間・契約単価です。成約率が上がっても、商談時間が延びて月の商談数が減ったり、値引きで単価が下がったりすれば、売上への効果は変わります。
岡田商談の件数が少なすぎると、成約率が上がったかどうか分かりません。
たとえば20件の商談では、成約が1件増えるだけで成約率は5ポイント動きます。1件の増減で動く幅を確かめ、1か月の数字だけで指導の成否を決めないでください。
米国国立標準技術研究所(NIST)の統計ハンドブックでは、観測した割合と対象件数を使い、割合の推定に伴う不確かさを信頼区間で表す方法を示しています。 参照:Confidence intervals|NIST
信頼区間の考え方を踏まえると、営業所でも成約率と対象件数の併記が必要です。必要な商談数を一律に決めず、客層や商材の違いも確認しながら変化を追います。
弊社のDOKOでは、指導する商談と会話を画面で選べます。日報の件数からは、指導する会話までは分かりません。
DOKOの画面で見る情報は、次の2種類です。
岡田DOKOの対象は、1〜3回の訪問で決まる商材や、即決型の訪問販売です。契約まで30〜40回通う商材は対象から外しています。
岡田指導する商談や場面は、次の情報を見て選びます。

所長は、達成率が低い場面の会話を確認し、同行やロープレで何を指導するか決めてください。時間が長い場面を調べるには、担当者の分析画面を使います。
岡田フェーズごとの平均時間を支店全体と並べ、全体より一番長くかかっているフェーズを1文で示します。所長が並べて見るのは、そのフェーズの平均時間と、次のフェーズへ進んだ件数です。

岡田お客様の事情で長くなった商談を、自動で見分ける仕組みは今はありません。営業が話す割合が画面に出て、商談全体の時間も出せます。
時間が長いだけで指導対象にしないように、会話を確認します。


担当者ごとの成約率や、フェーズごとに次へ進んだ割合は見られますか?
岡田標準のダッシュボードに出る率は、見積後の成約率です。商談数に対する成約率も、画面をカスタムして担当者ごとに出せます。
岡田次のフェーズへ進んだ割合は、標準画面には出ません。標準画面で確認できるのはフェーズごとの件数です。別に割合を画面に出すこともできます。
フェーズを飛ばす商談がある場合は、前述の計算例のように、分子と分母の商談が対応するかを確かめてください。
岡田活動量を全件記録して工程ごとの率で分析するやり方には、一部対応しています。ダッシュボードで見られるのは、見積後の成約率と、担当者ごとの次の件数です。
岡田管理職に確認する商談を知らせる通知は、今後の構想です。週次ダイジェストや、達成率が低い商談の通知を考えています。
DOKOの検討時には、自社で使っている集計表とトークスクリプトを用意してください。そのうえで、担当者ごとの数字と実際の会話をどの画面で確認するか、デモで確かめてください。
営業所の日報から、担当者ごとの商談数と成約件数を書き出してください。成約率を計算し、目標の成約率との差を商談数に掛けると、増やしたい成約件数を見積もれます。
指導では、成約した商談と、しなかった商談で会話が違う場面を選びます。同行・ロープレの後は現場での会話を確認し、成約件数と商談時間の変化を追ってください。DOKOの相談では、自社の集計や指導に必要な画面を確かめてください。

エンジニア出身。大阪大学在学中から複数のプロダクトを立ち上げ、2019年にNOVEL株式会社を設立。上場企業を含む60件以上のAI導入・システム開発を支援し、見積もりと要件定義は自ら担当する。著書『2冊目に学ぶ ChatGPTプロンプト攻略術』(C&R研究所、2024年)。

社内のエンジニアや代表への取材と、お客様の導入支援の記録をもとに記事を作っています。NOVELは上場企業を含む60社以上のAI導入・システム開発を支援し、商談解析AI「DOKO」などの自社製品も開発しています。


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生成AI・AIエージェント・業務システムの開発と導入支援|AI導入の支援実績 60社以上/上場企業から中堅企業まで|2019年設立